コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第35回
「誰かの心に残る女優になりたいです」
本作は、2009年3月に、福井県立福井商業高等学校のチアリーダー部「JETS」が、全米チアダンス選手権大会で優勝を果たすという奇跡を起こした実話を映画化した作品だが、この中で中条は、チアダンス部の部長【玉置彩乃】を演じている。
中条は、出身地こそ大阪府大阪市というバリバリの関西人だが、父親がイギリス人で母親が日本人のハーフでもある。 それゆえ、海外に対する“免疫”もあるようだ。
撮影はアメリカでも行われ、その合間にはみんなでアメリカの街を観光したらしいのだが(別の撮影で居なかった広瀬すずをのぞいた4人で)、中条以外の3人(山崎紘菜/富田望生/福原遥)は自分たちだけで行動するのに怖さを感じ、英語も話せて“海外慣れ”している中条に頼りきりだったらしい。 まぁ、さすがの中条も「子どもだけで居るのは怖かったですけど(笑)」とは語っていたが。
中条は、その日本人離れした美貌とスタイルを武器に、モデルとして、女性ファッション誌のみならず、男性週刊誌の誌面を飾ったり、あるいは「東京ガールズコレクション」などの“生”の現場でもその魅力を存分に振りまき、男性よりもむしろ、女性からの圧倒的な支持を集めている。
また、女優としても活躍しており、2012年放送のTVドラマ『黒の女教師』の【梅原優】役で女優デビューを果たすと、2014年公開の『劇場版 零 ゼロ』の【アヤ】役で映画初主演を経験。その後も『ライチ☆光クラブ』や『セトウツミ』でヒロインを務めるなど、今後もさらなる活躍が期待されている若手女優の一人である。
モデル業と女優業のハーフ&ハーフ。
中条あやみ。
おそらく世間ではその名前よりも、その“顔”の方をよく知っているという人が多いかと思われる。それはやはりCMの影響が大きいだろう。 [ハーゲンダッツ]のCMで、ちょっぴりビターな大人の表情を見せたかと思えば、[ドコモ・dポイント]のCMでは、けん玉を成功させた後にとびっきりの可愛らしい笑顔を見せるなど、それこそBeautyとPrettyの良いとこ取りをしたハーフ&ハーフで、観る者を虜にしている。
「誰かの心に残る女優になりたいです」
正確にはこう言っていた。
「“あの映画のあそこのシーンで元気になれた”とか、誰かの心に残る女優になりたいです」
今のところ、“あの映画”ではなく、まだまだ“あのCM”や“あの雑誌”の印象が強いので、これから女優としても本格的に活動していくのなら、人々の心に残るような芝居ができる、本物の女優へと成長していってほしい。
映画『チア☆ダン 〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』
映画『チア☆ダン 〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』(東宝配給)は、福井県立福井商業高等学校のチアリーダー部が、全米チアダンス選手権大会で優勝するという快挙を成し遂げた実話を基にした、青春ミラクルエンタテインメント作品。