Feb 05, 2017

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探偵はニュートラル、大泉洋が創り出す間とは

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コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第31回

『探偵はBARにいる3』の製作発表会見が2月1日、時事通信ホールで行われた。
会見には、出演の大泉洋、松田龍平、北川景子が出席した。

 

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「初めて会った時からニュートラル」

2013年に公開されたシリーズ第2弾『探偵はBARにいる2  ススキノ大交差点』から4年、探偵・大泉洋と、相棒・松田龍平の名コンビがスクリーンに帰ってくる。

その相棒こと、【高田】を演じる松田龍平は、【探偵】大泉洋の印象について、上記のように「初めて会った時からニュートラル」と語り、「作ってない自然なイメージだったので、それは久しぶりに会っても変わらないですね。【高田】を演じる上で、大泉さんの存在は大きくて、大泉さんに会うと【高田】になれるんです」と、大泉に絶大なる信頼を寄せていた。

 

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対して、大泉は、現在TBS系で放送中のドラマ『カルテット』に出演している松田のスケジュールを心配しつつ、「ドラマのタイトルも『カルテット』から『トリオ』に変わるんじゃないですか? 他の3人(松たか子/満島ひかり/高橋一生)だけでやってもらわないといけないかもしれません」と指摘し、「今回は特に【高田】のアクションが多いのに、バイオリンなんてやってんじゃねぇよ!」と声を荒げていた。

また、大泉が今回のヒロインを務める北川景子と脚本の話に花を咲かせる中、意見を求められた松田は「ドラマが忙しくて脚本読んでなくて・・・すいません(笑)」と告白。呆気にとられた大泉が「スゴくないですか、この役者!!」と腹を立てると、会場は笑いに包まれていた。

その後も記者会見の壇上では、夫婦漫才のような2人の掛け合いが展開され、終始笑いを巻き起こしていた。

なぜ普通に会話しているだけなのに面白いのか。
そこには2人が醸し出す、圧倒的な“間”が存在しているからだと気付いた。

 

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あまり感情を表に出さず、“無”の状態を続ける松田は、話を振られても口を開くまでに数秒の“間”がある。聞く者はその“間”に耐え切れず笑い出したり、「何をしゃべるんだろう」と惹きつけられるのだ。
一方で大泉は、松田とは対照的に表情豊かに語り、常に“有”の状態を維持しているのだが、話し終えるとそこには数秒の“間”が訪れる。聞く者はその“間”に惹きつけられ、「笑い待ちでもしてるんだろうか」「何か面白いことでも考えてるんだろうか」とクスクスしてしまうのだ。

松田が大泉について放った「ニュートラル」という言葉に置き換えると、雄弁に語っている時の大泉は、ギアがトップに入っている状態。大泉くらいの“語り”の上級者になってくると、ローからセカンド、そしてサードとギアを上げていき、徐々に会話を盛り上げていったり、時にはギアをバックに入れ、一歩“下がった”ところで場の空気を読みながら戦況を見つめたりすることもできる。

だから、話が終わり、ギアをニュートラルに入れたアイドリング状態になると、今までの喧騒が嘘のように静まり返り、そこには何とも言えない“間”がやってくるのだ。その振り幅が大きいからこそ、大泉の語りは、ひいては大泉の魅せる芝居は、実に面白く、人を惹きつけるものがあるのだろう。

 

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それゆえ、第一印象は「面白い」「楽しい」「愉快」な人という好印象になりがちな大泉。だが実際のところ、彼の本性とはどのようなものなのだろうか。それは、家族や友人など近しい者にしか分からないことではあるが、大泉の技術をもってすれば、“そこ”にさえキャラ作りが徹底されている可能性もある。
北川も大泉の印象については、「面白くて優しい印象です。ただ、15分前に初めてお会いしたばかりなので(笑)」と、お茶を濁していた。

まぁ、稀代のエンターテイナーである大泉にとっては、『とにかく笑えれば、ハハハと笑えれば』、それでいいのかもしれないが。

今日もギアはニュートラル。
いつでも発進する準備はできている、そんな大泉洋なのであった。

 

映画『探偵はBARにいる3』(東映配給)

映画『探偵はBARにいる3』(東映配給)は、アジア最北の歓楽街である札幌・ススキノを舞台にした、ミステリー作家・東直己による「ススキノ探偵シリーズ」を映画化した、『探偵はBARにいる』シリーズの第3弾作品。

監督:吉田照幸
脚本:古沢良太
出演:大泉洋、松田龍平、北川景子 ほか

2017年冬、全国公開。

公式サイト http://www.tantei-bar.com/

原作小説

 
『探偵はバーにいる』東直己/早川書房

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佐々木誠

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