Feb 02, 2017 news

次はどんな新しい一面を見せるか、ソビトな俳優・菅田将暉

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コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第30回

『キセキ  -あの日のソビト-』の初日舞台挨拶が1月28日、丸の内TOEI①で行われた。 舞台挨拶には、兼重淳監督、出演の松坂桃李、菅田将暉、忽那汐里、平祐奈、横浜流星、成田凌、杉野遥亮が登壇した。

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「『キセキ』のイントロを聴いただけで緊張する体になっちゃいました」

観客500人が、GReeeeNの代表曲『キセキ』を大合唱する中、客席後方から颯爽と登場した菅田将暉は、ステージに登壇すると、こう語った。

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ある日、FMラジオから、GReeeeNの『キセキ』が流れてきた。筆者はドラマ『ROOKIES』のファンであったため、懐かしさのあまりつい口ずさんでいたのだが、曲が終わると、ラジオパーソナリティはこう言った。 「グリーンボーイズで『キセキ』をお送りしました」 一瞬耳を疑ったが、紛れもなくその『キセキ』は、菅田率いるグリーンボーイズが歌っていたものだった。あまりのソックリ加減に衝撃を受けたのを今でも覚えている。

しかし、その実力は折り紙つきで、グリーンボーイズとしてCDデビューを果たしたほか、さいたまスーパーアリーナで行われた、GReeeeNの10周年記念LIVEへの参加や、Mステ(ミュージックステーション)への出演など、もはや映画という枠組みを飛び越え、グリーンボーイズという1組のアーティストとして注目を浴びるようになった。

そして、今回の『キセキ』という作品を観て改めて、俳優・菅田将暉の素晴らしさを再認識した。

菅田の連続ドラマ初出演は、桐山漣とともにダブル主演を果たした、『仮面ライダーW』(2009年)の【フィリップ】役。若手俳優の登竜門であるヒーロー作品で華々しくデビューした。その後もイケメン俳優という“立ち位置”で活躍していたが、転機が訪れたのは、おそらく2013年公開の『共喰い』での演技だろう。

同作は、田中慎弥による芥川賞受賞作を映画化した作品で、菅田は、粗暴な性癖を持つ父親を忌み嫌うも、初体験の時に自分にも父親と同じ血が流れていることを自覚させられる、主人公の高校生【篠垣遠馬】を、まさに体当たりで熱演した。 この頃から、菅田に対する評価は変わりつつあり、ただのイケメン俳優ではなく、きちんと役を演じられる、本物の役者なのではないだろうかと脳裏に刻まれていったのだった。

今では、その顔と名前も広く認知されるようになり、菅田を「すだ」ではなく、「すがた」と読んでしまう人もだいぶ減ってきたことだろう。

また、俳優としての菅田の実力は今さら言うまでもないが、一人の人間として見てもとても魅力的な男なのだ。

一言で言ってしまえば、サービス精神旺盛で気配り上手。

舞台挨拶などで、壇上に先輩俳優らが多く立ち並ぶ時は、その場の空気を読み、作品について、そして自身の役柄について真摯に語る姿が見られるが、反対に後輩が多い場合には、自ら進んで彼らの発言を促したり、適度にくだけて、緊張している後輩らにツッコミを入れながら、その緊張を和らげている様子をよく見掛ける。

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善人も悪人も瞬時に演じ分けられるように、対人関係においても菅田は、臨機応変に上にも下にも、兄キャラにも弟キャラにもなれる、とても器用な人間なのである。

2017年は、『キセキ  -あの日のソビト-』に始まり、『帝一の國』(4月29日公開予定)の【赤場帝一】役、『あゝ、荒野』(2017年公開予定)の【新宿新次】役、『銀魂』(2017年公開予定)の【志村新八】役、『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』(8月18日公開予定)の【島田典道(声)】役と、5本の映画に出演するなど、昨年に引き続き、今年も大活躍の年になることが予想される。

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最近少し疲れた表情を見せる時があるのは心配ではあるが、菅田将暉にはこれからも“ソビト”な俳優として突き進んでいってほしい。

ソビト(素人/空人)とは、[自由に新しいことに挑戦していく人]という、GReeeeNによる造語である。

映画『キセキ  -あの日のソビト-』(東映配給)

映画『キセキ  -あの日のソビト-』(東映配給)は、メンバーが歯科医師で、顔出しを一切しない異色のボーカルグループ「GReeeeN」の誕生秘話を描いた青春ドラマ。

監督:兼重淳 脚本:斉藤ひろし 出演:松坂桃李、菅田将暉、忽那汐里、平祐奈、横浜流星、成田凌、杉野遥亮、早織、奥野瑛太、野間口徹、麻生祐未、小林薫 ほか

公式サイト http://kiseki-movie.com/

佐々木誠

「日刊 情報プレス」編集者 (有)情報プレス社が発行する「日刊 情報プレス」は、映画業界のニュースやイベント、興行成績、劇場公開情報など、映画に関する様々な情報を掲載。また、Facebookページでは、【情報プレスα】(www.facebook.com/joho.press.jp)として、映画の舞台挨拶やイベントの模様を面白可笑しく掲載中。日々アップしている。