Jan 19, 2017 news

巨匠の手で俳優としての魅力が再燃!窪塚洋介が秘めたる大きな可能性

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コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第24回

『沈黙  -サイレンス-』のジャパンプレミアイベントが1月17日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた。 イベントには、マーティン・スコセッシ監督、出演の窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮が出席した。

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「役者人生最良の日です!」

声高にそう叫ぶのは窪塚洋介。

遠藤周作の小説「沈黙」を、巨匠マーティン・スコセッシ監督がおよそ30年をかけて映画化した本作『沈黙  -サイレンス-』で、キリスト教が禁じられている日本において棄教したとされる師の真相を確かめるため、日本へとやってきた若き宣教師ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)を案内する日本人【キチジロー】役を務めている窪塚。

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舞台挨拶の壇上では、スコセッシ監督への感謝の言葉が止まらず、「マーティン・スコセッシ監督はどれだけ日本に来てくれるんですか! この30年間、この映画の製作のためにどれだけ日本に来てくれたと思いますか? 現場でも毎日、どこの馬の骨かも分からない僕みたいな者にも敬意を払ってくれて、本当に毎日、夢の中で仕事をしているようでした。だから、山の上が寒かろうが、正座で膝の古傷が痛もうが、待ち時間が長かろうが、そんなのは幸せの一部だと思えるんです!」と、次から次へと飛び出る魂の叫びに会場は圧倒され、一緒に登壇した共演者たちも感嘆の声を上げていた。そして、最後に窪塚は「今日この場所にいられることは、僕にとって役者人生最良の日です!」と、熱く締めくくっていたのだった。

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俳優・窪塚洋介と言えば過去に、映画『GO』や『ピンポン』、ドラマ『GTO』など話題作に多数出演していたが、小生が一番印象に残っているのは何と言っても、ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』で演じた【安藤タカシ】役であった。

【タカシ】は、カラーギャング集団「G-Boys」を束ねる“キング”として池袋の街に君臨し、圧倒的な支配力を見せつけていたが、その中でも【タカシ】の口癖? でもあった「マコちゃんさぁ」という言葉に、まるで自分の名前を呼ばれているような錯覚に陥り、どこか親近感が湧いたのを覚えている。窪塚とは同い年ということもあるし。 もちろん、「マコちゃん」というのは小生のことなどではなく、長瀬智也演じる主人公【真島誠】のことだ。2人は高校時代の同級生で、残忍で暴力的な【タカシ】も【誠】には幾分気を許している。そんな【タカシ】を窪塚は、持ち前の独特なキャラクター性と飄々とした身のこなしで見事に体現していた。

人気絶頂にある中で、謎の転落事故を起こしたり、奇々怪々でおかしな発言や行動が目立つなど、俳優としての窪塚洋介よりも、人間としての窪塚洋介について問われることが多くなってしまった。非常に残念なことだった。

そんな中で今回、巨匠マーティン・スコセッシ監督の作品でハリウッドデビューを飾ることになった窪塚だが、彼は若かりし頃にこんなことも語っていた。

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『人生って片道切符だから、楽しんだもん勝ち。一日一日の夜をゴールにすると、すごく一日を楽しめるんですよ。全力でその日を生きる。』

偉大な監督が作り上げる空間で、全ての時間が「幸せの一部」と感動し、さらに「想像していたよりも、集中力や忍耐力が必要な現場で、簡単に超えられる壁ではなかったけど、それも嬉しかったです。監督は、最高の芝居ができるようにしてくれるというか、監督がそこに居るだけで、僕らが一番良いテンションに持っていくことができるような、類い稀な才能を持っている方です。出来たものを観て、改めて偉大な監督だなと思いました」と語っていた窪塚。

巨匠の手により、俳優としての何かを刺激され、全力でその日その日を生きる悦びを味わっていたのかもしれない。

“奇”という漢字は、大と可の組み合わせで出来ている。これまでの奇々怪々な言動を、大きな可能性を秘めた魅力に変えて、今後は【俳優・窪塚洋介】としてもっともっと活躍していってほしい。

映画『沈黙  -サイレンス-』(KADOKAWA配給)

映画『沈黙  -サイレンス-』(KADOKAWA配給)は、戦後日本文学の最高峰とも称される、遠藤周作の「沈黙」を原作に、人間にとって本当に大切なものとは何かを、壮大なスケールで描いた歴史大作。

監督:マーティン・スコセッシ 脚本:ジェイ・コックス、マーティン・スコセッシ 出演:アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライバー、浅野忠信、キアラン・ハインズ、リーアム・ニーソン、窪塚洋介、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシ、PANTA、片桐はいり、美知枝、伊佐山ひろ子、佐藤玲、洞口依子、藤原季節、菅田俊、大島葉子、青木崇高、SABU、渡辺哲、AKIRA、中村嘉葎雄、高山善廣、斎藤歩、黒沢あすか ほか

公式サイト http://chinmoku.jp/

佐々木誠

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