Oct 28, 2016 news

山田孝之って何者?
切っても切っても違う顔の“非”金太郎飴

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コラム 佐々木誠の『映画記者は今日も行く。』第9回

『何者』の初日舞台挨拶が10月15日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた。 舞台挨拶には、三浦大輔監督、出演の佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之が登壇した。

「有村さん(有村架純)になって、男という男をたぶらかしたい」

この日も山田孝之は、劇中で演じた“達観先輩系男子”【サワ先輩】として、壇上で繰り広げられているクロストークに静かに耳を傾け、達観していた。 そして、自分の出番がやって来ると、その独特の感性で、こう願望を伝えていたのだった。

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山田孝之のこういった“達観者”スタイルは、もはや舞台挨拶などでは恒例の行事と化している。

ステージに登場するや、他の登壇者たちを尻目に、二日酔いなのかと勘繰りたくなるくらいフラフラしながら終始うつむいていたり、「山田で〜す」の一言で最初の挨拶を終えたりと、常に心ここにあらずの状態だ。

山田孝之はいつも違う世界を見ている。

以前行われた、『何者』の完成披露試写会の舞台挨拶に登壇した際には、周りの俳優たちが、自身の役柄についてや撮影現場でのエピソードを語る中、山田は「それよりも、この『何者』のフォントがカッコイイですね」と、自分が立っているステージに刻まれた“何者”の文字に興味をそそられていた様子だった。

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さらに、実写化が決定した『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』の製作発表記者会見においては、自身が演じる【片桐安十郎】役について、「安十郎は史上最低の殺人鬼で、自分の素に近い部分があるので、緊張はしていません。役作りに関しては、毎晩毎晩、夜道を歩く時にすれ違う人を狙っています。ただ、大きな組織に所属しているので、手は出しませんけど」と、何の感情もオモテには出さないまま、サラッと怖しいことを言っていた。

ある時は、無表情で強面の闇金業者。 ある時は、世界を救う伝説の勇者。 ある時は、ラテン系のコーヒー豆職人。 ある時は、アイドル好きのオタク青年。

そのどれもが山田孝之という人間であり、そのどれもが山田孝之という人間を形成する細胞の一つ一つなのである。

切っても切っても違う顔が生まれてくる、まさに、金太郎飴とは真逆の、“非”金太郎飴的な俳優、それが山田孝之だ。

「上手い」とか「巧い」と言われる役者は数多く存在するなれど、『美味い』と感じる役者はそうはいない。

山田孝之って何者?

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噛むごとに、毎回違う味わいを楽しませてくれる一流の料理人であり、自家製のスパイスでどんな役柄にも極上の旨味を加えることができる超一流のシェフである。

ちなみに、『何者』での山田孝之は、いたって普通の、いたってマトモな男性を演じているのだが、何だかそれが逆に気になってしまい、纏っている空気にソワソワする感覚を抱いてしまった。 普通の役者ではこの感覚は生まれない。

「この後、絶対何かやりそう」

が、結局最後まで何も起こさなかった。

観ている者にそう感じさせるということは、少なからず今回も山田は、小さじ1杯程度のスパイスを振りかけ役に旨味を加えて臨んでいたに違いない。

映画『何者』(東宝配給)

『桐島、部活やめるってよ』の原作者・朝井リョウが、就職活動を通して自分が“何者”であるかを模索する若者たちの姿を描き、直木賞を受賞した同名小説を映画化した作品。

監督・脚本:三浦大輔 出演:佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之 ほか

http://nanimono-movie.com/

佐々木誠

「日刊 情報プレス」編集者 (有)情報プレス社が発行する「日刊 情報プレス」は、映画業界のニュースやイベント、興行成績、劇場公開情報など、映画に関する様々な情報を掲載。また、Facebookページでは、【情報プレスα】(www.facebook.com/joho.press.jp)として、映画の舞台挨拶やイベントの模様を面白可笑しく掲載中。日々アップしている。