ダニエーレ・ルケッティ監督のコメント
「この映画は軽やかで、かつ哀愁にも似た喜びに満ち溢れている」
この映画の基となったフランチェスコ・ピッコロの2冊の本は、かねてから私のお気に入りでした。よく人にプレゼントしたり、いくつか引用したりしました。なぜなら、想像上の些細な備忘録に記された数千ものパラグラフの中に、いずれは読者に関係するであろう何かがあると思うからです。それが明らかに逆説的な話であろうと、雷で打たれるようなパラグラフであろうと、常に私たちには、こう言う瞬間があります。「それって、私のことだ!」
物語の語り手に相応しい人材であるピフのような俳優が、我々を導いてくれると思ったので、できるだけ原作に手を加えないよう努めました。ですが、フランチェスコ・ピッコロと私は、その試みを押し通せませんでした。私たちは原作に多くを付け加え、ある古い映画から着想を得た枠組みを作り出しました。
さらに私たちは天国と地上の狭間の「瞬間」、つまり本当の天国と物語が展開するパレルモの街との狭間にある「瞬間」を語るということで、パレルモの街を拠り所としました。主人公の周りには愛すべきスターたちが名を連ねます。トニー、アンジェリカ・アッレルッツォやフランチェスコ・ジャンマンコ、パラディーゾの役人役のレナート・カルペンティエーリなど。
予め物事を決めすぎないようにしたこの映画は軽やかで、かつ哀愁にも似た喜びに満ち溢れていると思います。死に行く恐怖を遠ざけるため、愛情と無自覚のバランスを理解するため、もしくはユーモアという軽やかで人生における些細にして重要なことを表現できるのかを確認するため、決まり事を少なくするように努めました。