Jul 28, 2025 news

鬼才・中平康が、自身のプロダクションの第一弾作品として制作した狂おしくも美しい地獄絵巻 映画『闇の中の魑魅魍魎』が限定上映

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鬼才・中平康が自身のプロダクション第一弾として1971年に制作した、映画『闇の中の魑魅魍魎』が、例年開催されている「奇想天外映画祭」内で限定公開される。

1966年に雑誌で特集されたことをきっかけに全国に知られることとなった幕末土佐の天才絵師“絵金”。歌舞伎や浄瑠璃の場面を絵画化した芝居絵屏風に描かれるその作風は、血まみれの凄惨さ、過激な性表現、そしてユーモアが混在した絵金にしか描けない唯一無味のもの。本作では、絵金と名乗る前の、20歳の金蔵が、様々な出来事を経て“絵金”になるまでの貴重な一時期が描かれる。

監督はモダニストとして高く評価され、『狂った果実』ではトリュフォーらにも影響を与えた中平康。以降も、『牛乳屋フランキー』『月曜日のユカ』等、次々と作品をヒットさせるが、日活との対立により解雇。1971年に自身のプロダクション、中平プロを立ち上げる。

今までの軽妙で都会的に洗練された作風と一転、泥臭く、人間の真実を求め、残酷絵図を追いつづける金蔵の業をこれでもかというほどに描いた本作は、1971年のカンヌ映画祭に正式出品されるも、そのあまりの血みどろの描写が物議をかもした。

絵金を演じるのは、若き日の麿赤児。その他、扇ひろ子、加賀まりこなどが女優陣の圧倒的な存在感をみせる。

この度、公開にあたり、麿赤兒と大駱駝艦の舞台をフィーチャーした異色のドキュメンタリー、林海象監督『ちんなねえ』も同時上映される。

映画『闇の中の魑魅魍魎』は、2025年10月11日(土)より限定公開。

作品情報
映画『闇の中の魑魅魍魎』

絵師金蔵は20歳。長身でたくましい体躯だが、傲慢で不潔という不名誉な陰口を叩かれていた。とあることから江戸に遊学した金蔵は3年ごしに高知に戻る。そこからが“絵金”としての絵師金蔵の再スタートのはずであったが‥‥。権力に抗った絵金が“自分のみを信じて”描き上げた絵はやがて多くの人々を魅了していく。

製作・監督:中平康

脚本:新藤兼人

原作:榎本滋民「血みどろの絵金」

出演:麿赤兒、扇ひろ子、加賀まりこ、稲野和子、佐々木愛、岡田英次、江守徹、土方巽、殿山泰司

配給:アダンソニア

©ディレクターズ・システム

2025年10月11日(土) 新宿 K’s cinema にて限定公開