黒木瞳(女優)
こんなにも清らかな涙を流したのは、どの映画作品以来だろう。涙を流すたびに、心が洗われてゆく。要らない命などひとつもない。必要のない人生を送った人などひとりもいない。とにかく、『まきもとサイコ~』と、わたしは叫んだ!
黒野伸一(作家、小説版『アイ・アム まきもと』著者)
全部とはいわないけど、部分的にまきもとに似ている人間は、意外といるような気がする。わたしもそうです。
さとうようへい(遺品整理ティックトッカー)
身寄りのない方が亡くなった場合、日本では火葬・納骨のみを行い、通常は葬儀は省略される。遺体の引き取り、遺品の引き取りを拒否する親族も多い中、葬儀もしっかり行うべきなんだという牧本の故人を慮る姿勢・信念に非常に感動した。私が身を置く遺品整理という世界でも牧本と同じように、故人が生きてきた証を一つ一つ証明し、私の心に刻み込まれている。例え天涯孤独だったとしても、故人が生きてきた証は消えない。映画を見終わった後、きっと家族に連絡したくなるだろう。
澤田瞳子(直木賞作家)
人生とは孤独で哀しく、そして必ずどこか温かい。生きる不安を優しく包み込み、そしてすべての人の一生を見つめ直させてくれる物語。美しい庄内の風景が、現代社会の冷ややかさに揺るぎのない問いを突き付けます。
鈴木福(俳優)
常に”こう”なってしまう牧本さん。それに気がつくけどまた”こう”なってしまう、牧本さんに魅了されました。
深町秋生(ミステリ作家)
孤独死という現代日本のなかでもとりわけ切羽詰まった問題に正面から向き合い、ユーモアあふれる娯楽作品に昇華させる手腕はお見事。合理化や効率化で人さえも駒やモノとして扱われる時代。それに徹底して抗う阿部サダヲの姿は、黒澤映画の傑作『生きる』の志村喬を想起させる。ウェルメイドで温かい映画だ。
藤井道人(映画監督)
人の死や孤独について描いた映画なのに、観た人の心をあたたかく元気付けてくれる。そんな映画だった。残された人たちの心を、実直に、そして時には強引に変えて行ってしまう主人公・牧本の奔走する姿は、昨今において忙殺され、忘れかけていた他者への愛に溢れていた。
三浦希紗(脚本家)
人より察することが苦手な牧本だけど、いや、だからこそ、人より深く考えられることがあるのかもしれない。しんみりとはじまり、だんだんと前を向いていくようにテンポが変わるエンディングテーマが、観た者の心を表してくれているようだった。
劇団カムカムミニキーナ・八嶋智人(俳優)
死を扱っているのに、とても生き生きとしている矛盾!ヘンテコなのに謹厳実直な、まきもとの矛盾!この歪んだ世の中では、その矛盾は至極真っ当なのだ!優しく清々しい映画!阿部サダヲ最高!
吉岡里帆(女優)
マキモトさんの在り方や故人と関わりのあった人たちとのやり取りにクスッとしながらも「お葬式は誰のために、何のためにあるんだろう」と考えさせられます。最後は鼻の奥がツーンとして“おみおくり”の本当の意味を知りました。マキモトさん、頑張った頑張った!
よしひろまさみち(映画ライター)
迷惑系だなんてとんでもない! 合理性&利便性を求めすぎている今こそ、こういうおせっかいの粘り勝ちを忘れちゃいけないってこと、思い知らされます。どんな人にもやさしさと慈しみを!
小さな市役所に勤める牧本の仕事は、人知れず亡くなった人を埋葬する「おみおくり係」。故人の思いを大事にするあまり、つい警察のルールより自身のルールを優先して刑事・神代に日々怒られている。ある日牧本は、身寄りなく亡くなった老人・蕪木の部屋を訪れ、彼の娘と思しき少女の写真を発見する。一方、県庁からきた新任局長・小野口が「おみおくり係」廃止を決定する。蕪木の一件が“最後の仕事”となった牧本は、写真の少女探しと、一人でも多くの参列者を葬儀に呼ぶため、わずかな手がかりを頼りに蕪木のかつての友人や知人を探し出し訪ねていく。工場で蕪木と同僚だった平光、漁港で居酒屋を営む元恋人・みはる、炭鉱で蕪木に命を救われたという槍田、一時期ともに生活したホームレス仲間、そして写真の少女で蕪木の娘・塔子。蕪木の人生を辿るうちに、牧本にも少しずつ変化が生じていく。そして、牧本の“最後のおみおくり”には、思いもしなかった奇跡が待っていた。
監督:水田伸生
出演:阿部サダヲ、満島ひかり、宇崎竜童、松下洸平、でんでん、松尾スズキ、坪倉由幸(我が家)、宮沢りえ、國村隼
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©2022 映画『アイ・アム まきもと』製作委員会
2022年9月30日(金) 全国公開
公式サイト iammakimoto.jp