Sep 30, 2022 interview

阿部サダヲ インタビュー 『アイ・アム まきもと』殺人鬼からおくりびとまで演じる役者の様相

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俳優の阿部サダヲが『舞妓Haaaan!!!』(07)、『謝罪の王様』(13)に続き水田伸生監督とタッグを組んだ『アイ・アム まきもと』(9月30日公開)。

原作は、第70回ヴェネチア国際映画祭で4つの賞を受賞したウベルト・パゾリーニ監督の『おみおくりの作法』(15)だ。空気は読めないが、真っ直ぐな「おみおくり係」の牧本が巻き起こすハートフルストーリー。

5月公開の『死刑にいたる病』(白石和彌監督)では少年少女24人を殺した殺人鬼役から一転、善良すぎる役所職員を演じているのだから、役者は面白い。阿部が水田作品の魅力、作品の裏側を語った。

監督との新たなコンビネーション

―― 『謝罪の王様』以来、久々の水田監督とのコンビですね。

お話を頂いたときは、宮藤官九郎さん(『なくもんか』『舞妓Haaaan!!!』など)の台本かなと思ったんです。しかし、原作がある、しかも脚本が倉持裕さんだと伺い、これは新しいパターンだと思いました。原作の映画も素敵だったし、こういうタイプの映画は今まで出たことないかも、と。

水田監督とは何度もご一緒していますが、こういう映画では初めて。台本を読んだら、書き換えが素晴らしい部分がたくさんあって、倉持さん風の笑いがあったので、楽しみにしていました。

―― 原作の『おみおくりの作法』はいかがでしたか?

主人公は感情をすごく消している感じがしました。イギリスが舞台なので、お天気も曇っていて。ローな感じがすごくする一方、明るいイメージもあったので、いいなと思っていました。現場にはDVDを持っていって、似たようなシーンの前日には観ていました。

ただオリジナルをなぞってもしょうがない。防護服を着たり、同じようなことはやっていますが、違うところは違う。リメイクとは一言で言い切れない部分もあると思います。

―― 水田作品の魅力はどこにありますか?

水田監督はすごくキャラクターを愛している方なんです。それぞれのキャラへの読み込み方がすごく深く、それぞれが水田監督の分身になっています。現場でも、こうやって動くみたいなことや、カメラワークも決まっているので、実は乗っかっているだけなんです。テンションも監督が作っているのかもしれないです。