石井岳龍監督最新作、映画『箱男』。この度、本作のキャスト永瀬正敏、浅野忠信、佐藤浩市らが箱をかぶりながらインタビューに臨む貴重映像が公開された。
ダンボールを頭からすっぽりとかぶり街中に溶け込み、一方的に世界を覗き見る「箱男」。劇中でも「箱ってやつは見るとかぶるとでは大違いだね」というセリフがあるように、ダンボールをかぶった状態で世界を覗き見ることで、そこには新たな世界が広がっているように感じられそうだ。この度公開された映像では、多くのシーンを箱の中で過ごした主演の永瀬正敏をはじめ、共演の浅野忠信、佐藤浩市、さらには劇中では一度も箱をかぶることがない白本彩奈が、それぞれ箱に入り、覗き窓から目元だけを出した状態で行った異例のインタビューの模様が収められている。
27年前に一度立ち上がった同作の映画化の企画が頓挫した当時も役作りとして滞在先で箱をかぶり続けていたという主演・永瀬正敏は“箱”に対する想いは人一倍強いようで「だんだん落ち着いてきて心地よくなってくるんですよね」と語る。続けて「自分のよく知っている場所、家の中などを見ていても少し感じが変わってくるんですよね。空気の流れも変わるし、反響するものも変わっていくし、なんとも言えない気分になる」と箱の中に入り続けることで、馴染みのある景色すら変わって見えることを明かした。
さらに本作で箱男の存在を乗っ取ろうとするニセ箱男を演じた浅野忠信は撮影を振り返り、例えばスタッフ間で言い合い等が生じた時に止めた方が良いと考える自分がいるのに、箱をかぶっていたことで「自分には関係ないみたいな気持ちになれるのがすごく不思議」と、普段社会に参加していることを実感させられたと語る。また、主人公を誘惑する謎の女・葉子を演じる白本彩奈は、「箱の中から失礼します、箱女です」と自己紹介。箱の中については「懐かしさがあって落ち着きますね」と、感想を述べた。
そして、本作で主人公の“わたし”を利用しようと企む軍医を演じる佐藤浩市は、箱を現代における携帯電話に例えて、「自分は覗いているつもりだけど、実は覗かれているということがいわゆる一つのテーマだと思う」と語りつつ、捉え方は十人十色だと話し、「ひとそれぞれ見方が変わってもいい、それをみんなで映画を観終わったあとに話し合ってほしい作品」と訴えた。
映画『箱男』は、2024年8月23日(金)より全国公開。
完全な孤立、完全な孤独を得て、社会の螺旋から外れた「本物」の存在。ダンボールを頭からすっぽりと被り、街中に存在し、一方的に世界を覗き見る、箱男。カメラマンである“わたし”は、偶然目にした箱男に心を奪われ、自らもダンボールをかぶり、箱男としての一歩を踏み出すことに。しかし、本物の箱男になる道は険しく、数々の試練と危険が襲いかかる。存在を乗っ取ろうとするニセ箱男、完全犯罪に利用しようと企む軍医、“わたし”を誘惑する謎の女・葉子。果たして“わたし”は本物の『箱男』になれるのか。そして、犯罪を目論むニセモノたちとの戦いの行方は。
監督:石井岳龍
出演:永瀬正敏、浅野忠信、白本彩奈、佐藤浩市、渋川清彦、中村優子、川瀬陽太
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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2024年8月23日(金) 全国公開