Jul 07, 2022 news

現代への警鐘 ナチス・ドイツの子どもたちが晩年に語った加害者側の証言 ドキュメンタリー映画『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』

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8月5日(金)より全国公開が予定されている、“第三帝国”にかかわった市井の人々の証言を記録したドキュメンタリー映画『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』。この度、その予告映像が公開された。

本作に登場するのは、ヒトラー率いるナチス支配下のドイツ“第三帝国”が犯した、人類史上最悪の戦争犯罪“ユダヤ人大量虐殺【ホロコースト】”を実際に目撃した人々。

これは、武装親衛隊のエリート士官から、強制収容所の警備兵、ドイツ国防軍兵士、軍事施設職員、近隣に住む民間人まで、終戦から77年を迎える今、「現代史の証言者世代」と呼ばれる高齢になったドイツ人やオーストリア人など加害者側の証言と当時の貴重なアーカイブ映像を記録したドキュメンタリーだ。

この度、公開された予告映像では、ナチス政権下の貴重なアーカイブ映像と、“第三帝国”に関わった人々の現在のインタビュー映像が映し出される。

「この作品に登場する少年少女は、人類史上最悪の犯罪“ユダヤ人大量虐殺【ホロコースト】”を目撃した。これは、ナチス・ドイツの子供たちが晩年を迎え語った加害者側の証言ドキュメンタリーである」

このナレーションと共に、ハーケンクロイツ旗の隣で一列に並び敬礼するドイツ市民の姿や、ヒトラーユーゲントの少年たちが行進する様子などが切り取られ、当時の様子を窺い知ることができる。

一方、映像後半では“第三帝国”に関わった人々が証言する。

「知らなかったとしても加担していた。結局私たちも加害者なんです」といった罪を認める言葉や、「他の人のことは言えませんが私は何も知りませんでした」と自己弁護する発言に対し、「皆が知ってた。誰も言わなかっただけよ」と非難する声、そして「目をくらまされるな!」と若者たちに必死に訴えかける。

現代を生きる我々は、彼らの言葉に何を感じ、何を学ぶのか。

イギリス出身のドキュメンタリー監督ルーク・ホランドは、10代になって初めて、母がウィーンからのユダヤ人難民で、祖父母はホロコーストで殺害されたというルーツを知った。2000年代になり “祖父母を殺した人間を捜す”という目的で、このプロジェクトに着手したという。

「すぐに無理だとわかりました。しかし、彼らの仲間には実際に会うことができる。ヒトラーのために腕や銃を振り上げた人たち、残虐な犯罪を犯した人たちを通して、ホロコーストが繰り広げられた背景をよりよく理解できるかもしれないと考えたのです」。

ホランドは2008年から10年の歳月をかけて250以上のインタビューを行い、本作完成直後の2020年6月、71歳で癌で亡くなり、自らのルーツを探る、人生最期の旅路を終えた。

2022年2月ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が開始された。まさに“今”起きていることを語っているかのような、時代を超えたメッセージが本作には込められている。

作品情報
映画『ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言』

イギリスのドキュメンタリー監督ルーク・ホランドは、アドルフ・ヒトラーの第三帝国に参加したドイツ人高齢者たちにインタビューを実施した。ホロコーストを直接目撃した、生存する最後の世代である彼らは、ナチス政権下に幼少期を過ごし、そのイデオロギーを神話とするナチスの精神を植え付けられて育った。戦後長い間沈黙を守ってきた彼らが語ったのは、ナチスへの加担や、受容してしまったことを悔いる言葉だけでなく、「手は下していない」という自己弁護や、「虐殺を知らなかった」という言い逃れ、果てはヒトラーを支持するという赤裸々な本音まで、驚くべき証言の数々だった。監督は証言者たちに問いかける。戦争における“責任”とは、“罪”とは何なのかを。

監督・撮影:ルーク・ホランド

配給:パルコ ユニバーサル映画

©2021 Focus Features LLC.

2022年8月5日(金) TOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほかにて全国公開

公式サイト universalpictures.jp/micro/finalaccount