Sep 12, 2017

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『ダークナイト』『インセプション』『ダンケルク』、世界が注目するノーラン作品を徹底分析

作品を発表するごとに、予想を超えた反響を呼ぶクリストファー・ノーラン監督。まさに現代の“天才”と呼ぶのにふさわしい才能の持ち主だが、革新的なストーリーと映像に挑みながら、なぜ彼の作品は観客をここまで惹きつけるのだろう。実話を映画化した最新作『ダンケルク』でも、ノーランの革新性とチャレンジ精神はますます加速するばかり。新たな傑作とともに、ノーランの神髄に迫っていこう。

 

『メメント』から追求し続けるオリジナリティと、監督作では脚本も手掛けるプライド

 

これまで監督した作品のほとんどすべてがセンセーショナルな話題を呼び、コアな映画ファンからライトな観客層にまで幅広くアピール。興行的にも成功を収めている、クリストファー・ノーラン。なぜ、ここまで彼の作品に期待が高まるのか? それは映画本来の目的に忠実だからかもしれない。

ノーランの才能が広く世間に知れ渡ったのは、長編2作目にして、いきなりアカデミー賞脚本賞・編集賞にノミネートされた『メメント』(00)だ。記憶が約10分間しか続かない主人公が、写真やメモを頼りに、愛する妻を殺した犯人に復讐するという、はっきり言って複雑なシチュエーションを、観客と主人公の感覚を一体化させる手法で鮮やかに映画化。“これまで観たことのないスタイル”として完成させた。そう、映画の大きな目的とは、観る人に“新しい世界”を届けることであって、その目的をノーランはシンプルに模索したのである。この『メメント』以降、ノーランは監督として基本的に“オリジナリティ”を追求していくことになる。『メメント』は弟のジョナサンが書いた短編が基になっているが、ノーランは『インソムニア』(02)以外のすべての監督作で、脚本も執筆している。そこからは“自分が発案したオリジナルの物語を、自分で映像作品にする”という強いプライドが見てとれる。まさに、映画作りにおいて、真っ当な姿勢である。

 

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『ダークナイト』(08)(C)2014 Warner Bros. Entertainment Inc.

 

ただし、次のノーランの大ブレイクとなる『ダークナイト』3部作(05/08/12)では、バットマンという有名なキャラクターが題材であった。一見、映画作家としてのオリジナリティへの追求が低下したようにもとれる。しかしこの3部作、特に2作目の『ダークナイト』は、それまでのアメコミキャラクター映画のイメージを大きく変え、タイトルが示すとおりダークな世界観を構築。ヒーロー映画を革新する仕上がりとなり、観客の心を捉えたのである。暗くてもヒットできると証明し、その後のアメコミヒーロー映画の潮流を変えたことは、ある意味でノーランらしいオリジナリティ追求の姿勢が貫かれたからだろう。

 

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『ダークナイト』(08)(C)2014 Warner Bros. Entertainment Inc.