ふたりの関係性
ーーおふたりの共演は『きばいやんせ!私』(2018) 以来ですか?
仲野 そうか‥‥久々かも?
岡山 いや最後は、NHKのドラマ「オリバーな犬、(Gosh!!) このヤロウ」だ。
仲野 そうだ、一瞬だったけど‥‥。
岡山 同じシーンがあって。
ーー今日、おふたりが会った瞬間、久々なんだろうけど仲良しなんだなぁと思っていたんです。
仲野 わかっちゃいましたか(笑)。
ーーでも劇中では、信頼し合ってはいるけど、ピリピリした関係性を演じているわけじゃないですか。お話ししていて、そんなふたりがどういう感じで現場にいたんだろう?と思いました。
岡山 結構空き時間は普通に話していて、今とそんなに明確に違いはなかったです。恋バナとかもしてたし‥‥。
仲野 確かに恋バナとかしたね (笑)。
ーーまさに青春ですね (笑) 。では特別なことをするわけではなく、いつもの2人のままで現場にいらしたと。
岡山 屋上で恋バナしてましたよね (笑)。
仲野 そうですね。天音は大変なシーンの連続だし、主演としていろんなものを背負っていたので、とにかく邪魔をしないでおきたい。そういう気持ちはあったんですけど‥‥蓋を開けてみれば、恋バナしたりとか(笑)。いつもそうなんですけど、天音がいると割と甘えちゃうんです。
ーーどういう甘えなんですか?
仲野 天音に話しかければ、何か面白いことが起きるというか、ボケられるんですよ。天音の前だとボケても突っ込んでくれるから、すごく嬉しくて。
ーー今回の役通りじゃないですか。
仲野 集中しなきゃいけないのに、ちょっかいばかりかけていましたね。すんませんでした(笑)。
岡山 全然。ボケてなかったですよ。
仲野 本当? 意識はしてたよ。天音は集中する時間だ、むやみに話しかけちゃいけない、って思いつつ、普通でいてくれたんで、僕としてはとても過ごしやすかったです。
ーー確かに岡山さんが演じたツチヤは、かなり難しい役柄だと感じました。演じる上で特に難しかった点はどこですか?
岡山 人物像としては、理解できないという部分はなかったので、そういった意味での難しさみたいなものはなかったですね。難しかった点でいうと、ツチヤを演じながら生きる希望を持ち続けるのが難しい (笑) 。ツチヤを全うする上で、そこを手放さない。命の手綱を持ち続けて、こうやって完成の日を迎えることが難しかったです。
ーー演じる上で、ご自分とツチヤの違いがあるのではなく、共感できる部分があったということですか?
岡山 かなりありました。むしろ、あんまり乖離しているところがないです。
ーー仲野さんはご自分の役柄でどう言った部分で難しさを感じましたか?
仲野 ツチヤの鬱屈とした気持ちは、夢を追いかけている人だったら、感情の大小や、質量の違いはあるかもしれないけど、共感できるところがあるような気がしています。西寺からしても、昔の自分を見るような思いもあっただろうし、ただ、ツチヤの熱量はわかるけど、わからない。そういう距離感が結構難しかったです。お前の気持ちは痛いほどわかる、でもわかんねえよ、みたいな。
彼にどんな言葉をかけるべきなのか、どんな手を差し伸べるべきなのかということに、西寺自身もすごく苦心したと思うし、僕自身も西寺を演じるにあたって、彼の前でどう存在すればいいのかとすごく悩みましたね。