Sep 02, 2017 interview

ジャニーズを主役にした新たなドラマの形 『ウチの夫は仕事ができない』小田玲奈プロデューサーインタビュー

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第二章、仕事ができる男になってからが、本当に描きたかったこと

 

──これからの展開が気になるのですが、明かしていい範囲で教えてください。

9月2日(土)からの8話、9話、最終回までの3話分を、私たちは日曜劇場(TBS)のように「第二章」と呼んでいます。今まで、仕事ができないながら、ちょっとずつ認められてきた小林司(錦戸)が、いきなり本格的に認められるようになります。

──「仕事ができる男」になってしまう。

8話では、司が再会した幼馴染が、かつては同じように地味な学生生活を送っていたにもかかわらず、いまは成功者になっていて。その生活を見た司は、成功者に憧れるようになるんですね。ちょうどそのとき、仕事がうまくいって、会社での司の状況が急速に変わり始めます。今までは、仕事ができなかった分、家庭を省みる余裕があったけれど、仕事が軌道に乗って楽しくなってしまうと、仕事を優先するようになってしまう。
いわゆる「ブラックつかポン」の登場です(笑)。そこで、私がやりたかったことは、仕事ができるようになることで、家庭を幸せにできるのかという問題定義です。

──司も、よくあるパターンに陥るんですね(笑)。

司も普通の男だった(笑)。例えば、帰宅して、今日のできごとを話そうよとなっても、仕事の話が込み入り過ぎていて、沙也加(松岡)にうまく話せなくなってしまったり、いつもお弁当を作ってもらっていたけれど、ランチミーティングが増えると、お弁当が要らなくなってしまったり……。そうなった時、沙也加は、決して、拗ねたりしないんです。自分が望んでいた、仕事のできる夫になったのだから、寂しいと思ってはいけないと葛藤する……。実は、私がこのドラマで一番描きたかったのはこれなんです、仕事ができるということは、家族を幸せに導くのか。司は、傍から見たら、“仕事ができる人”になったのですが、そうなった時に、他人に対する優しさを失ってしまうわけです。沙也加の寂しさも理解してあげられなくなるし、会社でも気遣いがなくなっていきます。

──そうなると、どんなことが起こるんですか。

会社に関することで言うと、私も実際仕事をしていて葛藤するところですが、仕事というのは、すべて個人で成立するものではなくて、いろいろな人の力が合わさっているものですよね。ドラマ作りにおいても、たくさんの人のアイデアや作業を、プロデューサーの私が最終的にジャッジする、逆に言うと私は選んでいるだけ。それなのに取材で、何かを褒められたときに、厳密に言えば、助監督だとかスタッフの誰かが精魂込めてやったことなのに、それを細かく説明しないまま、なんだか私の手柄になっちゃったなあと思うときがあります。司も同じで、自分がやっていないことなのに、自分の手柄になって、成功の階段を駆け上がる……でも、そこで小林司は立ち止まるんです。これで本当にいいのか、と。愛する人や仕事仲間を思いやる気持ちを捨てなければいけないような状況になったときに、本当に大切にするべきものは何かがやっとわかる。

 

20170814_DSC2811

 

──私は、このドラマを結論とか正解に向かって強引に向かっていくのではなくて、仕事かな?家庭かな?どっちもかな?とちょっとずつ進んでいく感じがいいなと思って観ています。実際の人生ってそうだよなあって。

ありがとうございます。本当に仕事と家庭の関係性って複雑ですよね。司も沙也加も、そのことに悩みながら、人として、夫婦として成長していると思います。私もドラマを作りながら、気づくことがたくさんありました。例えば、2話で、司と沙也加が今日あったことを話すことにしようというエピソードがあって。ベッドの上に正座して報告し合うのですが、台本を読んだときは、そんなことするかな? とやや懐疑的でした。でも、私も思いきって夫にベッドの上で正座して仕事の話をしてみたら、意外と聞いてくれたんですよ。夫婦とか家族がうまくいくのって、こういうことの積み重ねなんじゃないかなって思いました。このドラマを通して、ウチの夫婦もちょこっと成長しているかもしれません(笑)。

 

取材・文 / 木俣冬
撮影 / 江藤海彦

 

 

プロフィール

 

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小田玲奈(Reina Oda)

1980年東京都生まれ。三谷幸喜の『王様のレストラン』を観て、脚本家を目指し、日本大学芸術学部演劇学科に入学。2003年、日本テレビ放送網入社。朝の情報番組『ズームイン!! SUPER』、バラエティ『メレンゲの気持ち』『another sky-アナザースカイ-』『魔女たちの22時』『不可思議探偵団』『有吉ゼミ』などの担当を経て、ドラマ制作へ。2016年『家売るオンナ』、『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』をプロデュースした。自社で好きなドラマは『ハケンの品格』(07年)。

 

番組情報

 

『ウチの夫は仕事ができない』(土曜よる10時〜)
http://www.ntv.co.jp/shigotogadekinai/

『地味にスゴイ! DX 校閲ガール・河野悦子』 9月20日(水)よる9時〜
http://www.ntv.co.jp/jimisugo/special/

 

文・木俣冬

 

文筆家。主な著書に「ケイゾク、SPEC、カイドク」(ヴィレッジブックス)、「SPEC全記録集」(KADOKAWA)、「挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ」(キネマ旬報社) 、共著「おら、あまちゃんが大好きだ! 1、2」(扶桑社)、「蜷川幸雄の稽古場から」、構成した書籍に「庵野秀明のフタリシバイ」、ノベライズ「マルモのおきて」「リッチマン、プアウーマン」「デート〜恋とはどんなものかしら〜」「恋仲」「IQ246~華麗なる事件簿」など。
エキレビ!で毎日朝ドラレビュー連載。 ほか、ヤフーニュース個人https://news.yahoo.co.jp/byline/kimatafuyu/ でも執筆。
初めて手がけた新書『みんなの朝ドラ』(講談社現代新書)が発売中!
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062884273

otoCotoでの執筆記事の一覧はこちら:https://otocoto.jp/ichiran/fuyu-kimata/

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