Jun 15, 2017 interview

「こども」って怖い存在だと思う。だから無意識に何度も使ってしまうのかもしれない。

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不幸な「こども」が失踪した3日後に、その周りの大人が死んでいく事件が多発する。それはこどもの霊を操るという「こどもつかい」の仕業なのか…? 『呪怨』でJホラーに革命を起こし、『THE JUON/呪怨』で全米ナンバー1を記録した清水崇監督が新たに挑んだのはホラーやファンタジーといったジャンルを超越した新たな“恐怖”。子供が存在感を発揮する作品を多く手がけてきた“リアル「こどもつかい」”の清水監督に、本作への意気込みを伺った。

 

「ただ怖いだけの映画」を超えた恐怖とは?

 

──本作は恐怖描写も凄まじいですが、それだけではない方向性を持った作品だと感じました。

ジャンルとしてはホラーなんですけど、絶対的な悪が登場するとか、悪霊の呪いを解いていくだけの作品にはしたくないというのがありました。『呪怨』の頃は僕も若かったし、理由度外視でもただひたすら箱を開けたら、怖いお化け屋敷みたいな映画があってもいいんじゃないかって思ってたんですけど、さすがに僕も40歳を過ぎて、たくさんホラーも撮ってきて、ただミテクレだけ怖いっていうのは恥ずかしい想いが出てきましたね。ビックリ箱の精神は変わってませんけど(笑)。

──「こどもつかい」というキャラクターはどうやって作りあげたんですか?

大きなモチーフのひとつが「ハーメルンの笛吹き男」ですね。あの話って、実は怖いというか、とんでもない当時の世相を孕んでいるじゃないですか。ブラジリィー・アン・山田さんの最初のプロットを読んで「これ、ハーメルンの笛吹き男ですよね」って言ったら「そういえば」っていう雰囲気になったんですよね。僕も常日頃から「ハーメルンの笛吹き男」や「赤ずきん」といったグリム童話のモチーフに興味があったんです。そこから僕もいろいろ意見を言ったり、最終的には僕もけっこう筆を入れさせてもらいながら作り上げていきました。

 

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──滝沢秀明さんを主演に迎えたのは?

滝沢さんは実はいままで映画にはあまり出ていないし、主演もやっていない。ならば、だれも観たことのないタッキーにしたいと俄然、モチベーションと悪戯心が湧きました。脚本やイメージが固まる前に滝沢さんに会って、「こどもつかい」のキャラクターを作っていきました。  滝沢さんは座長とか演出まで自分でもやっている方なので、いろいろ考えを持ちつつも、監督の僕に世界観を託してくれました。「映画は監督のものですから」という感じで。それでもメイクとかテストしたりするときに滝沢さんが他のスタッフに「こういうのはどうですか?」って提案されてるんです。それを僕は聞きつけて(笑)、滝沢さんに「あのアイディアなんですけど…」って話しかけて、だんだん直接コミュニケーションを取っていった感じですね。

──無邪気さのなかに恐怖が潜んでいるようなキャラクターが新鮮でした。

「こどもつかい」は人間と同じ多面性を持った存在で、怖い部分もあるし、クールに見えつつ、キュートな部分もある。でも、やりすぎると謎めいたところがなくなってしまう。撮影時、滝沢さんにはいろいろやっていただいたんですけど、「観客がついてこれない」と指摘されて止む無くカットした場面も多いんです。そこは僕が暴走した面だったかもしれませんが、TPOや〝空気を読む〟なんて日本文化から逸脱した像こそが「こどもつかい」であり、子供たちでもあるんです。

 

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──「こどもつかい」のビジュアルもインパクトがありました。

特殊メイクもやってくれた百武さんが基本のベースを作ってくれて、そこに僕がいろいろ意見しながら作っていったんですけど、元が「ハーメルンの笛吹き男」のイメージなので、よくわからないハットを被ってたり、変なバッジをたくさん付けてたりするんですよ。そうやっていろいろ装飾を加えていったら、だんだん重量オーバーしていって、最終的に衣装がすごく重くなってしまったんです。撮影は夏だったので、この格好で不平も言わずに臨んでくれた滝沢さんは本当に大変だったと思います。

──有岡大貴さんはいかがでしたか?

有岡くんは可愛すぎるっていう心配はあったんですよね。彼自身も最初に会ったときに「僕で大丈夫ですか」って聞いてきたぐらい。今回、彼が演じた駿也は、まだ大人の男に成りきれてなくて、結婚にも踏み切れない優柔不断な人物像なんです。女の人から見ると可愛らしいけど、いざ男として頼れるかどうか?っていう感じが欲しくて、それが有岡くんによくハマったと思います。ホラー映画だけど、女性にはキュンキュンして欲しいです(笑)。

 

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