東野圭吾の同名長編小説を実写映画化した、映画『ある閉ざされた雪の山荘で』が1月12日に公開される。本作はトリックや人物描写の複雑さから映像化不可能と長年思われていたサスペンス・エンターテインメントだ。
登場人物は全員役者。ある山荘に呼び出された彼らが挑むのは、新作舞台の主役の座をかけた最終オーディション。選考は”大雪で外部との接触が断たれた山荘”という架空のシチュエーションで起こる連続殺人事件を”演じる”ことを求められる。出口のない密室空間で、一人、また一人と消えていくメンバーたち。これは演技なのか殺人事件なのか。果たして嘘をついているは誰か、疑心暗鬼のなか観客をも惑わす結末を迎える。
主演は重岡大毅。本作ではオーディションに参加する俳優の7人の中で唯一、異なる劇団から参加した部外者を演じる。彼以外の登場人物は、皆同じ劇団に所属する役者。中条あやみ、岡山天音、西野七瀬、堀田真由、戸塚純貴、森川葵らが、一癖も二癖もありそうなキャラクターたちを演じる。
そして今回、劇団トップ俳優を演じた間宮祥太朗にインタビュー。奇しくも集まった共演者は同世代。劇中同様、気心知れた仲間のなかで、本作のキーパーソンをどう演じ、この難解な密室劇を作ったか、そして彼が思う役者の世界について伺った。
違和感とジレンマ
ーー今回演じられた本多雄一というキャラクターについて、間宮さんはどう解釈されていましたか?
劇団の顔ではありますが、劇団のみんなにいじられているから、チャーミングな部分はあって、”そこまでシビアな人間じゃないんだろうな”と思っています。なんとなくでやっているけど、それが意外と想像以上になっちゃう感覚派の人間なんでしょうね。
ーーこの作品では、役者が役者を演じていて、その登場人物が山荘で役を演じている。そんな役柄が面白くもあり難しいと感じていると伺いました。本多雄一のどの部分だったのか具体的に教えてください。
役者としては、台本に書いてあること以上に考えなきゃいけないことがあって、それでお客さんを楽しませなきゃいけない。でもこの作品の場合、台本を読んで自分が思ったように芝居すればいいだけではなくて。この二重、三重の構造っていうのをしっかり踏まえた上で、そのニュアンスを入れていかないといけないという部分は、面白くもあり、難しくもありといった感じでした。
ーーしかも間宮さんは、それを一番やらないといけない役柄でしたよね。
僕の役が一番ってことはなく、みんな大変だったと思います。演じた役柄とは関係なく、役者が自然に動きたい欲望と、そうすると、整合性がとれない部分も出てきてしまうという難しさを感じながら、みんな演じていたのかなと思っています。
ーー間宮さんは演技プランを一度頭で考えるタイプですか?
事前に考えているっていうのもありますけど、やっぱり動くとなにかノッキングするんですよね。セリフを流してみて、”さっきのあのセリフ、俺のセリフにかかってるから、間のやり取りは必要あるかな?”だとか、”会話のテンポはおかしくないかな?”とか、会話が流れているかを気にするようにしています。
ーー今回の現場でもそういった部分を感じては、相談しながら作っていったと。
観ている方が、”今のトリックって筋通ってないんじゃないか?”って思った時点で、そこからその作品を信用して観られないと思うんです。だけど、そこは難しいんですよね。全部の整合性を合わせようとすると、違う部分が出てきてしまいますし。