Feb 08, 2017 interview

小日向文世と矢口監督が過酷なサバイバルロケの裏側を語る

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矢口監督流ヒット作の生み出し方

 

──矢口監督は脚本執筆に加え、ノベライズも自分で書かれていますが、デスクワークはどのようなスタイルでされているんですか? 自宅派ですか、それともカフェなどを転々とするノマド派?

矢口 どちらでもない散歩派です。手帳を持って一日中ずっと歩き回るんです。それで思いついたアイデアを手帳に書き留め、くたびれたら自宅に戻ってパソコンに入力します。それが終わったら、また散歩。だから、僕がいつも歩いている散歩コースを奪われたら、僕はもう作品が書けなくなるんです。

小日向 そんなに歩いているんですか?

矢口 歩きすぎて自宅に戻れなくなり、バスに乗って帰ることもあります。散歩している間は風景を眺めることはせず、ひたすら地面を見ながら歩いていますね。

小日向 すごい集中力。きっと、自然からもエネルギーを受け取っているんじゃないのかな

矢口 それは分からないですけど(笑)。でも、たまに口喧嘩しているカップルなんかを見かけると、近くに寄って聞き耳たてますね。そんな日常のちょっとしたことからアイデアを貰うことも多いです。

 

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──小日向さんは撮影の合間の待ち時間などは、どうやって過ごしているんですか?

小日向 スマホをいじっていることが多いですね。でも、これを言うと「エゴサーチですか?」って、みんなに言われてしまう。12月に放送された『おしゃれイズム』(日本テレビ系)で僕がエゴサーチしている話が出て以来、そればっかり言われるんですよ。『おしゃれイズム』がオンエアされた後にネットを見たら、「コヒさん、エゴサーチしてる?」って書き込みがあるんです(苦笑)。僕だけじゃなくて、みんなエゴサーチはやってるでしょ(笑)。それにいつもエゴサーチばかりしているわけじゃありません。

──読書はどんなものを好まれるんでしょうか?

小日向 僕はね、宇宙関係のものが大好きなんです。UFO研究家のジョージ・アダムスキーの全集は全巻そろえています。最近はいろんな作品に声を掛けてもらっているので脚本を読むのに忙しいんですが、強く印象が残った本だとバーバラ・マーシニアックが書いた『プレアデス+かく語りき 地球30万年の夜明け』かな。宇宙関係の本は夢中になって読んでしまいますね。広い宇宙のことを考えると、ワクワクしてくるんですよ。

 

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取材・文/長野辰次
撮影/名児耶洋

 

 

プロフィール

 

小日向文世(こひなた・ふみよ)

1954年北海道生まれ。東京写真専門学校卒業後、「オンシアター自由劇場」に入団。2001年の『HERO』(フジテレビ系)出演をきっかけに、売れっ子俳優に。映画出演作では、矢口監督の『スウィングガールズ』(04年)でヒロイン・鈴木友子の父親、『ハッピーフライト』(08年)で望月機長を演じている他、主演作に『銀のエンゼル』(04年)、『サイドウェイズ』(09年)、『犬飼さんちの犬』(11年)がある。『ステキな金縛り』(11年)、『清須会議』(13年)など三谷幸喜作品でもおなじみ。北野武監督の『アウトレイジ ビヨンド』(12年)でキネマ旬報助演男優賞を受賞。

 

矢口史靖(やぐち・しのぶ)

1967年神奈川県生まれ。東京造形大学在学中に製作した8ミリ作品『雨女』(90年)がPFFグランプリを受賞。スカラシップ作品『裸足のピクニック』(93年)で劇場映画デビューを飾る。『ひみつの花園』(97年)、『アドレナリンドライブ』(99年)を経て、実話を題材にした『ウォーターボーイズ』(01年)がロングランヒット。続く『スウィングガールズ』(04年)も大ヒットを記録。以後、『ハッピーフライト』(08年)、『ロボジー』(12年)、『WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~』(14年)と新感覚のコメディを発表し続けている。鈴木卓爾監督と20年以上にわたって続けている自主制作短編映画集『ONE PIECE 矢口史靖×鈴木卓爾監督作品 テトラパック』が2月15日(水)に発売される予定。

 

作品情報

 

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『サバイバルファミリー』

 ある日、電気がいきなり使えなくなったら、どーする!? スマホや電気製品が使えなくなるだけでなく、コンピューターによって制御されている水道やガス、交通網といったライフラインも利用不能に。テレビやラジオも点かないので、停電の原因も他の地域はどうなっているのかも分からない。矢口史靖監督の最新作『サバイバルファミリー』はそんなパニック状態に陥った世界が舞台。慣れないサバイバル生活を余儀なくされた鈴木家の人々は、「俺に任せろ!」というお父さん(小日向文世)を先頭に、自転車に乗ってお母さん(深津絵里)の故郷・鹿児島を目指すことになるが―。
 ネコ缶を食べ、野宿を強いられ、鈴木家のサバイバルツアーは過酷さを極めていくが、矢口監督らしくそこはユーモアたっぷりに描かれ、お父さんが悲惨な目に遭えば遭うほど、ついつい笑ってしまう展開に。バッテリー補充液は飲料水代わりになり、道端に生えている雑草は栄養価が高いなど、サバイバル豆知識も随所に盛り込まれ、さいとう・たかおのコミック『サバイバル』を子どもの頃に読んだ世代には懐かしいかも。
 これまでシンクロ、ジャズ、林業といった未知の世界に出会った若者たちの成長物語を描くことが多かった矢口監督にとって、初のファミリーもの。システマチックになりすぎた現代社会を風刺しながら、しんどい状況の中で逆にバラバラだった家族が再生していく過程をじっくりと描いた映画となっている。矢口監督の新しい代表作が誕生した。

原案・脚本・監督:矢口史靖
出演:小日向文世、泉澤祐希、葵わかな、深津絵里
配給:東宝

2017年2月11日(土)全国ロードショー
🄫2017 フジテレビジョン 東宝 電通 アルタミラピクチャーズ

公式サイト:http://www.survivalfamily.jp

 

関連書籍

 

-矢口史靖監督関連本

『サバイバルファミリー』矢口史靖/集英社

矢口監督によるオリジナル作品は、矢口監督自身がノベライズも書き下ろしており、登場キャラクターたちの心理面についても細やかに描かれて、読み応えあり。小説版では“お父さん”は電気が使えなくなる前から、息子と娘から心の中で軽蔑されまくっていた状況なども触れてあり、サバイバルツアーを通して家族の内面がどう変化していったかがよく分かる。巻末に書かれた〈失敗から学びたい! ファミリー・サバイバルGOODS10〉も要チェック。

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『ウォーターボーイズ』矢口史靖/角川文庫

男子高校でありながら、文化祭でシンクロナイズドスミングを発表することになった弱小水泳部のおかしくも、熱〜い青春物語。絵コンテ用に矢口監督が描いた登場キャラクターたちのイメージイラストが多数散りばめられており、矢口監督の脳内イメージがどのように映像化されたのか映画本編と見比べてみるのも楽しい。文庫版には映画のクライマックスシーンを再現したパラパラ画像もあり、遊び心が満載。

 

『プリーズ・フリーズ・Me』矢口史靖/小学館

矢口監督が原案を手掛けたコミック作品。17歳で娘を出産した女子高生・鈴木陽子が主人公。陽子は出産直後に事故に遭い、冷凍睡眠状態に。17年後、陽子は奇跡的に目覚め、娘・風子と同じ高校に通い始め、次々と大騒ぎを巻き起こす。「週刊ポスト」で連載した『ドキドキの時間』で知られるとみさわ千夏が作画を担当。母娘が同じ17歳という、矢口監督ならではのユニークなホームコメディとして楽しめる。

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-小日向文世さんおススメ本

『プレアデス+かく語りき 地球30万年の夜明け』バーバラ マーシニアック(著)大内 博 (翻訳)/太陽出版

「こんにちは。プレアデス人です。プレアデス星雲のエネルギー集合体です。」という衝撃的な書き出しで始まるバーバラ・マーシニアックによるスピリチュアル系ノンフィクション。1992年に米国で発売され、一躍ベストセラーとなった。バーバラは米国ではチャネラーとして知られ、プレアデス(昴座)の意識体が地球人類に向けて愛と光に満ちた飛躍の時代が近づいていると告げていることを本書で明かしている。