突然消えた大富豪の妻・スオミ。スオミが行方不明と知り、夫が住む豪邸に集結したのは、彼女を愛した5人の男たち。しかし、彼らが語るスオミは、見た目も、性格も、まるで別人のようだった‥‥。
9月13日に公開される映画『スオミの話をしよう』。主人公・スオミを演じるのは、長澤まさみ。そして彼女を愛した5人の男たち、1人目の男、M気質の使用人・魚山大吉は遠藤憲一。2人目の男、見栄っ張りのYouTuber・十勝左衛門役に松坂桃李。3人目の男、お人好しな刑事・宇賀神守役に小林隆。4人目の男、神経質すぎる警察官・草野圭吾役には西島秀俊。そして5人目の男、自分勝手な詩人・寒川しずお役を坂東彌十郎が演じる。
スオミが行方不明と知り、彼女の現在の夫である寒川の屋敷に集う元夫の草野・十勝・魚山・宇賀神。スオミ不在の中 “スオミがどんな女性なのか”を熱く語り合う男たちの会話劇。そしてスオミはどんな女性で、どこへ消えたのかといった謎を解き明かすミステリー。
9作目となる映画で、より”らしさ”を追求した三谷幸喜監督、そして監督とは初タッグになる西島秀俊さんに、本作の撮影秘話、本作にかける思いを伺った。
自分にしかできないものは何か
ーーまず三谷監督にお伺いします。本作をいま送り出した1番の理由をお聞かせください。
三谷 僕は時代性に合ったものを作るタイプの人間でもなく、その時その時にやりたいものをやらせていただくという感じです。今まで映画を8本撮らせていただき、今回で9本目になります。それで「自分にしかできないものは何だろうか?」と思ったときに、僕はやっぱり舞台の人間なので、舞台と映画の良いとこ取りができないかと考えたんです。
今までも「舞台っぽい映画だ」って言われてきたこともあったので、じゃあ、そこはもう開き直ってしまおうかと。脚本も、いつも演劇で書いているような会話劇にしましたし、シチュエーションもあまり変化のないセットにしました。舞台のようにだいぶ前から俳優さんに集まっていただき稽古をやり、俳優さんもしっかりとした芝居ができる方々が集まってくださいました。いろいろな意味で、すごく舞台っぽい映画を作ってみたいというところから発想して、最終的にこの映画ができたという感じなんです。
ーー舞台っぽい映画の演出ついて、詳しく伺いたいです。
三谷 僕ができることというのは、俳優さんをきちんと描くというか、俳優さんたちの一番良いところをフィルムに残すという、いまは、フィルムじゃないんですが、そういうことだという気がするんですよね。全てがそこに集約されていますね。リハーサルを時間かけてやるのもそうですし、長回しで撮ることもそう。すべて役者さんありきの演出なんです。
ーーその中で監督の思う映画らしさってなんですか?
三谷 映画らしさってなんだろうって思うし、よくわからない(笑)。映画らしくなくてもいいし、結局、面白いか、面白くないかしかないと思うんだけど。だから意識してないです。