Mar 06, 2019 interview

『スパイダーバース』日本人CGアニメーター・若杉遼に聞く、ハリウッドCG制作の舞台裏

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CGアニメーターから見た今後の映像技術の進化

 

──映画では、ジェームズ・キャメロンがCGの技術革新を起こし、その後『アバター』(09年)で3Dという革命も起きました。若杉さんから見て、今後新しい映像技術革新はあると思いますか?

Netflixの「ブラック・ミラー」(11年~)というSFドラマシリーズがあるんですが、ご存知ですか? 昨年末にリリースされた新作「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」は、ストーリーの分岐を自分で選ぶことが出来るんですよ。あれは個人的に新しいなと思っています。映像メディアに限った事ではないですけど、十分に物が流通するようになると、その次に起きる事ってオーダーメイドだと思うんです。映画も技術の発展で何でも作れるようになったところで、その次に来るのは、一人ひとりが何を見たいかという事になると思います。

VR技術もそうですよね。ユーザー自身がカメラマンになって自分の目線でストーリーを追える。なので、この先はお客さんの見たいものに寄り添う、インタラクティブな技術が出てくるんじゃないかと思っています。でも、まずは面白いストーリーを作るというのが大前提だと思います。技術ありきで作品を作るのではなく、伝えたいストーリーがあって、その表現の手段として技術があるべきですよね。

CGアニメもそうです。『トイ・ストーリー』(95年)があのタイミングでCGアニメになったのは、その必要があったからだと思います。オモチャのプラスチックの質感などを表現するために適していた。まずはやりたいこと、伝えたいことがあって、その上でCGを道具として使っている感じがしました。

 

CGアニメーターを目指すきっかけとなった作品は?

 

──ありがとうございました! 最後に「otoCoto」では皆さんに自身のルーツとなった作品や、影響を受けた作品をお聞きしているのですが、若杉さんが影響を受けた作品はありますか?

『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』ですね。小学6年生の夏休みに父親がパンフレットを買ってきてくれたんです。それまで『スター・ウォーズ』は観たことがなくて、夏休みの終わりに連れて行ってもらう約束をしたんですけど、その間ずっとパンフレットを読み込んでたんです。お話は全然分からないんですけど、写真からその世界観に魅了されて、絵なんかも描いたりして。それでついに観ることが出来たんですが、ポッドレースをはじめとするシーンがほぼCGなんだと思った瞬間に、もう圧倒さてしまいまして……。エンドクレジットは日本人スタッフがいないか、必死で探しました(笑)。

──日本人スタッフは探しちゃいますね(笑)。

その人がどんな仕事をしているんだろうって、すごい興味を持ちました。それが自分にも出来るんだろうか? と、小6ながらにそんなこと考えたりして。これが影響としては一番大きかったですね。なんだかみんなジャー・ジャー・ビンクスのこと嫌ってますけど、僕は圧倒されましたから、好きですよ(笑)!

取材・文/稲生稔・梅崎慎也

 

プロフィール

 

若杉遼(わかすぎ・りょう)

1987年、神奈川県出身。2010年、23歳の時に渡米。2012年にサンフランシスコの美術大学Academy of Art Universityを卒業後、PixarAnimationStudiosにてアニメーターとしてキャリアを始める。2015年よりサンフランシスコからバンクーバーに移り、現在はSonyImageworksに所属。携わった作品に、『アーロと少年』(15年)、『アングリーバード』『コウノトリ大作戦!』(16年)、『スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険』『絵文字の国のジーン』(17年)がある。

 

作品情報

 

『スパイダーマン:スパイダーバース』

ニューヨーク、ブルックリン。マイルス・モラレスは、頭脳明晰で名門私立校に通う中学生。彼はスパイダーマンだ。しかし、その力を未だ上手くコントロール出来ずにいた。そんなある日、何者かにより時空が歪められる大事故が起こる。その天地を揺るがす激しい衝撃により、歪められた時空から集められたのは、全く異なる次元=ユニバースで活躍する様々なスパイダーマンたちだった――。

製作:アヴィ・アラド、エイミー・パスカル、フィル・ロード&クリストファー・ミラー、クリスティーナ・スタインバーグ
監督:ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン
脚本:フィル・ロード、ロドニー・ロスマン
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2019年3月8日(金)公開
公式サイト:http://www.spider-verse.jp/site/

 

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若杉遼さんが影響を受けた映画

 

『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(99年)

映画『スター・ウォーズ』シリーズの第4作であり、アナキン・スカイウォーカーを主人公とした新三部作の第1作。シリーズでの時系列では第1章にあたり、前作『エピソード6/ジェダイの帰還』(83年)から16年ぶりの新作であったことや、インダストリアル・ライト&マジック(ILM)による当時の最新技術を駆使した映像が世界的な話題を集めた。

 

革新的だと感じた作品

 

「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」/Netflix(18年)

2011年からイギリスで制作され、2016年のシーズン3からはNetflixで配信されているドラマ「ブラック・ミラー」の最新話。「どちらのカセットテープを聴く?」などの“選択肢”が現れ、視聴者が選ぶことで物語が展開していくというインタラクティブなドラマとして話題を集めている。

 

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