Feb 17, 2017 interview

20年にわたるトークショーがまさかの映画化! みうらじゅん&いとうせいこう「レジェンド仲良し」の秘密

A A
SHARE

──最後にotoCotoは本も扱うエンタメサイトなので、おふたりが最近読んで面白かった本を教えていただけますか?

いとう 『乱舞の中世』(沖本幸子・著)っていうサントリー学術賞を獲った本だね。九龍ジョー(編集者、ライター)と押切伸一(コラムニスト、放送作家)経由で知った本なんだけど、室町時代に意外にも人々がすごく乱舞したってことが書いてあって。僕は能とか謡に興味があって、やってるから、すばらしく面白かった。江戸時代までは「能」って書いて「らんぶ」って読んでたらしいよ。

みうら あの一文字で?

いとう そう。で、しかも「らんぶ」が「らっぷ」になまった。「らっぷなの!?」って驚いて。

みうら へ~~っ。

いとう ちょっとビックリしたね。とてもいい本でした。

みうら 俺はね、ベースボール・マガジン社から出た『プロレス悪役列伝』。昭和のヒールが載ってるんだよ。僕は格闘技路線になる前の、ちょっとうさんくさいプロレスが大好きで。改めて本でスチールとか見ると、みんないい顔してんのよ。作られたヒールって昭和の産物だからね。

いとう そこに悲哀があるよね。

みうら 俺もスライドショーではヒール役だから(笑)。

いとう へ~~っ。

 

slide-show-12

 

取材・文/武富元太郎
撮影/吉井明

 

 

プロフィール

 

みうらじゅん

1958年2月1日、京都府出身。武蔵野美術大学在学中に漫画家デビューを果たし、以後、イラストレーター、作家、ミュージシャンなどとして幅広く活躍。「マイブーム」で1997年に新語・流行語大賞を受賞。「ゆるキャラ」の名付け親としても知られる。著書は『見仏記』(いとうせいこうとの共著)、『アイデン&ティティ』『ない仕事の作り方』など多数。

 

いとうせいこう

1961年3月19日、東京都出身。早稲田大学卒業後に講談社に入社。講談社を退社後は、作家、クリエイターとしてマルチに活躍。ラッパーとしても日本のヒップホップ黎明期から活動し、後進に大きな影響を与えている。著書は『ボタニカル・ライフ』(講談社エッセイ賞受賞)、『想像ラジオ』(野間文芸新人賞受賞)など。

 

作品情報

 

slide-show-13

『ザ・スライドショーがやって来る! 「レジェンド仲良し」の秘密』

みうらじゅん、いとうせいこう、そしてスライ(スライド機)のユニット“ロックンロールスライダーズ”が繰り広げるトークショー『ザ・スライドショー』。みうらが日本各地で撮りためた数々のネタ写真を会場の大スクリーンに映し出し、いとうがそれに絶妙なツッコみを入れるというスタイルで大人気を博している『ザ・スライドショー』が20周年を迎える。その節目となる2017年に公開される本作では、みうら、いとうの撮り下ろしロングインタビューをまじえながら、1996年の第1回から始まった歴史を振り返る。過去13回のショーから厳選された爆笑ネタが多数見られるのもうれしいところだ。

『ザ・スライドショーがやって来る! 「レジェンド仲良し」の秘密』
出演:Rock’n Roll Sliders[みうらじゅん・いとうせいこう・スライ]
監修:みうらじゅん/いとうせいこう
構成:おぐらりゅうじ 
監督:伏原正康
製作:WOWOW 
制作プロダクション:アウン・プエンテ 
制作協力:アーク 
配給:日活/WOWOW

2017年2月18日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー
©2017 WOWOW INC. ARK co., ltd.

公式サイト:http://ark.on.arena.ne.jp/miura/slideshow-movie.html
公式facebook:https://www.facebook.com/slideshow0218

 

 

関連書籍

 

『「ない仕事」の作り方』 みうらじゅん/文藝春秋

“マイブーム”、“ゆるキャラ”など様々なブームで一世を風靡する、みうらじゅんの仕事術が今、解き明かされる。企画、営業、接待を全部ひとりでやってしまうスタイルから“一人電通”とまで呼ばれる、みうらじゅんならではの仕事のノウハウが解説されている。アイディアのひらめき方や印象に残るネーミングの極意、世の中への広め方など、あなたの仕事にも応用できるテクニックが過去の作品の例とともに満載された1冊。

■電子書籍で購入する
Reader Storeはこちら
ブックパスはこちら

 

『想像ラジオ』 いとうせいこう/河出書房新社

東日本大震災を背景に生者と死者の新たな関係を描き、第35回野間文芸新人賞を受賞した、いとうせいこうの代表作的な小説。海沿いの小さな町の高い杉の木のてっぺんにいるDJアーク。彼は想像という電波を使ったラジオ番組のパーソナリティをつとめている。そのラジオ番組は想像力の中だけで聞こえるものだが、アークのもとにはリスナーからは次々とメールが届く。彼が想像ラジオのオンエアを始めた理由は……?。

■電子書籍で購入する
Reader Storeはこちら
ブックパスはこちら

 


 

みうらじゅんさんおススメ本

『プロレス悪役列伝』 ベースボール・マガジン社

『週刊プロレス』でおなじみベースボール・マガジン社のムック。アブドーラ・ザ・ブッチャー、タイガー・ジェット・シン、上田馬之助、ダンプ松本といった往年のレジェンド悪役レスラーをフィーチャー。インタビューでは、蝶野正洋、ザ・グレート・カブキらが登場。「悪役レスラーの“仕事道具”凶器大全」「戦勝国アメリカで生き抜いた憎き“ジャップ”たちの伝説 戦後の日本人ヒールの系譜」なども見逃せない!

 

いとうせいこうさんおススメ本

『乱舞の中世:白拍子・乱拍子・猿楽』 沖本幸子/吉川弘文館

2016年に第38回サントリー学術賞の芸術・文学部門を受賞した1冊。12~13世紀に貴族から庶民まで幅広い層で大流行した白拍子、乱拍子というリズミカルな芸能。今は失われてしまった、これらの中世の乱舞がどのようにして今も残る能へとつながっていくかを丁寧に検証して高く評価された。著者の沖本は芸能史などが専門で、『今様の時代 変容する宮廷芸能』という著書もある。