Feb 17, 2017 interview

20年にわたるトークショーがまさかの映画化! みうらじゅん&いとうせいこう「レジェンド仲良し」の秘密

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武道館では大江千里を着ぐるみに入れたまま登場させた

 

──『スライドショー』では、相手へのサプライズがあったりしますが、あれはお互いへのサービス精神の表われなんでしょうか?

みうら いや、いとうさんが俺を通して、俺はいとうさんを通してお客さんにサービスしてるつもりだけどね。俺はステージ上ではいとうさんのほうしか向いてないけど、それもあえてそうしてるから。

いとう でも、“いやげもの”(観客にも配布される、もらってもうれしくないおみやげ)は俺を笑わせようとするってことが第一の発想にあるでしょ。 みうら 困らそうってことではないんだけど、いとうさんに「何配ってんだよ!」って言われたいがために(笑)。

 

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──オープニングの演出はいとうさんの担当ですが、内容はみうらさんに内緒にしてるんですか?

いとう 細かい演出はその日にならないと、みうらさんに言わないけど、でも「誰を出したらいい?」っていうのはお互いに話し合ってるから。みうらさんに「今回のテーマってどんなものなの?」って聞いて、「じゃあ、誰を出したら面白いかな」って話し合いはするよね。

みうら 武道館のときは、ブンカッキー(国民文化祭・ひろしま2000のマスコットのゆるキャラ)の中にメガネをかけてる人が入ってるってとこまでは出たんですよ。

いとう 温泉で出たね。湯気の中で1時間ぐらいしゃべったね。

みうら で、「そうだ! 春風亭昇太さんだあっ!!」ってなって(笑)。まだ『笑点』をやってないころの昇太さんにお願いしたんだけど、その日は新潟での落語会があって出られないって言われて。「じゃあ、他のメガネは誰だ? メガネは!?」って考えて、「大江千里さんはどうだ?」ってなったんですよ。たまたま、僕が大江さんと会ってメールアドレスの交換もしてたんで、「これは引き受けてくれるかな? どうだろう?」と思ったら、ねえ?

いとう ダメもとで行ったら、大江さんがすごいユーモアのある人で。

みうら ありがたいことに。結局、大江さんは武道館では顔をさらすことなく(笑)。

いとう ブンカッキーの中に入ったまんまだった。あの大江千里がだよ。会場内のスクリーンに「ブンカッキー 大江千里」って出ただけだもんね(笑)。そこみたいにちょっと意地悪ふたり組な部分が出る場合もあるし、幅があるんですよ。温かい笑いもあって、猫ちゃん(2012年の『ザ・スライドショー12』のオープニングに猫ひろしが登場した)は頑張ってるから出したいっていうのもあったし。幅があるものを話し合えるセンスがあるのは、お互い企画屋だから。俺はみうらさんが言うこともすごくよくわかるから。

みうら 俺もいとうさんが言うことは、よくわかるよ。昔、「ゴスペラーズをステージで流すのは?」って案が出たこともあったよね(笑)。水がざーって流れてゴスペラーズも流れていく(笑)。

いとう そうなの(笑)。

みうら ゴスペラーズ……。

ふたり 流しね(笑)。

 

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──“ゴスペラーズ流し”(笑)。実現してないアイディアでも面白いものがたくさんあるんですね。

みうら いや、勝手に思いついてるだけで(笑)。すいません。

 

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