『ザ・スライドショー』のスタイルは話合って二人で作り上げた
──おふたりのトークのルールなどを決めたんですね。
みうら 俺のほうがちょっと年上だけど、タメ口で行くってふたりで決めたんだよね?
いとう 決めた。武道館(2001年の『ザ・スライドショー7』)より前に決めたんじゃないかな。なぜタメ口かっていうと、遠慮するとツッコミが弱くなる。みうらさんが「ここ、もっと強くツッコんでもよかったんじゃないの?」って言って、「いやあ、俺もそう思うんですよ」って答えたら、「じゃあ、もうタメ口にしよう」ってなって。
みうら そういうミーティングだったっけ?(笑)。
いとう タメ口だとやりすぎるとツッコミが強く聞こえるんですよ。そうするとお客が引き気味になるときもあるから、今は“ですます口調”も入る。そしたら、「あ、漫才の“ですます”ってこのためのものだったんだ」ってわかった。
みうら 話が変わったときに“ですます”になって、そこで仕切り直す作戦だよね。
──『ザ・スライドショー』でのおふたりのスタイルは、話し合って意識的に作り上げていったものということですか?
みうら そうですね。
いとう もとからの要素ももちろんあるんだけど、『スライドショー』のときのしゃべりのスタイルもあるんですよ。僕はみうらさんの言うことを理解しないじゃん?
みうら うんうん(笑)。理解しない立場をわざととってる。
いとう 「なに言ってんの?」ともう一回聞くのは、『スライドショー』の僕なんですよ。
みうら 他の現場では聞かないですけどね(笑)。
いとう だって、何を言わんとしてるかはすぐわかるから。
みうら でも、『スライドショー』ではいとうさんはお客さんの代弁者も兼ねているから。
いとう 「ん、何言ってんの?」って言ったときに、勘のいいお客さんは気づいて、もう笑い始めてる。その後、足の遅いお客さんが気づいて、みんなでひとつのラインに並んだところで、「いい加減にしろ!」ってツッコミが出る。
──いとうさんが理解しない立場をとることで、お客さんを置いてけぼりにしないわけですね。
みうら 今、いとうさんが言ったような話をしましたよ、そう言えば。
いとう したでしょ? あれは重要な一夜だった。五箇条の控えまで作ってね。五箇条の他の四箇条は忘れちゃったけど(笑)。
みうら 俺、今までいとうさんから来たファックスは全部取ってあるから、後で見てみるよ(笑)。五箇条が書いてあるかもしんない。
いとう うん、見てみよう。今の漫才師たちに対しても、いいメッセージかもしれないんだよね。