それぞれに切実な死にたい理由を抱え、集団安楽死をしようと廃病院に集まった12人。しかしそこにはいるはずのない13人目が死体となっていて――。13人目は一体何者なのか、何故死んでいたのか。「天地明察」などの冲方丁原作の密室サスペンス「十二人の死にたい子どもたち」が堤幸彦監督のメガホンによって映画化された。堤監督のインタビューに続き、学校では人気者だがある秘密を持つ“9番”=ノブオ役の北村匠海、集団安楽死の主催者である“1番”=サトシ役の高杉真宙の対談が実現。映画撮影を通して距離が近づいたであろう二人からは、気の置けない友人同士という雰囲気が溢れていた。
完成作を観て驚き?長回しと順撮り、5台のカメラによる「なかなかない貴重な現場」
──初めて台本を読んだ時の率直な感想を教えてください。
高杉 最初、題名だけ聞いた時は怖い系の話なのかと思いましたし、実際、そう思っている方もいらっしゃると思いますけど、台本を読むと想像とは違う映画なのかなと思いました。12人の会話だけでストーリーを進めていく展開なので、演じる側としては緊張もするけどワクワクするなとも思っていました。
北村 僕は冲方さんの原作が好きだったので、これを映画化するんだ!っていう驚きから始まりました。脚本を読んだ時は、今、真宙くんも言ったようにこれだけ会話劇で進んでいく中で、ましてや同世代の僕らが映画を1本作り上げるっていうプレッシャーや緊張感がありました。でもその半面、堤監督と一緒にお仕事したかったですし、12人の同世代と共演できるんだ!っていういろいろな楽しみがあったのでワクワクしかなかったです。
──現場で実際、大変だったことや苦労したことは?
北村 やっぱり長回しですかね。
高杉 うん、カメラ5台のマルチアングル要素もあったしね。
北村 同じ場所でずっと会話しているので、もはやシーンの区切りなんてものが――。
高杉 ほぼなかったくらいの(笑)。
北村 そうそう。劇中の時間軸通りに撮影していたので複雑な面もあったしね。一番長いので40分の長回しっていうのがあったり。
高杉 アニメ1回分終わっちゃう(笑)。
北村 40分って! みたいな(笑)。カメラが5台あったんですけど、1回お芝居をしてカメラを切らないまま移動させてまたお芝居をスタートさせるっていう長回しだったんです。それが僕としてはなかなか過酷でしたね。(現場の)酸素も薄くなってくるし(笑)。
高杉 ずっとスタジオで同じ場所だったんですけど作り込みもすごかったですね。12人いるから12人の表情を一人ひとり映していくっていうだけでも大変だし、その流れを維持したままお芝居するのは大変でした。
北村 それに今、どこを撮っているのかとか誰を(カメラで)抜いているのかとかわからなかったよね。
高杉 そうそう。
北村 モニターが離れてたから、今がどういう画なのかなかなかわからなかったので。だから完成作を観て、あ、この顔使われてたんだってわかるっていう。
高杉 あったあった(笑)。もちろんずっと意識はしてるんですけど、ここ撮られてたのかって驚いた(笑)。どこ向いてもカメラがあるから不思議な世界観だったよね。
北村 なかなかない貴重な現場だよね。