Jan 14, 2019

インタビュー

最新作は遺作その1?! 堤幸彦監督が“十二人の次世代を担う俳優たち”と影響を受けた映画作家を語る

 

第156回直木賞にノミネートされた冲方丁の小説「十二人の死にたい子どもたち」を「TRICK」『イニシエーション・ラブ』などを手がけた堤幸彦監督がメガホンをとり実写映画化。12人の“死にたい子どもたち”を杉咲花や新田真剣佑、北村匠海や高杉真宙、黒島結菜、橋本環奈など人気若手実力派俳優たちが演じており、新感覚の密室サスペンスとなっている。そんな本作の製作秘話や次世代を担う役者たちに感じたこと、さらに影響を受けた映画監督などを堤監督が語った。

 

12人の感情をさらに高めた“順撮り”と“長回し”

 

──原作の魅力をどんなところに感じましたか?

最初は“自殺志願者の集まり”という希望のないシチュエーションから始まって、いまを生きている若者の心模様みたいなものを丁寧に描きつつ、最終的には希望を帯びてくるというところに共感を持てました。これは凄い本だなと。推理ものであり、12人の若者たちの心根みたいなものが徐々に浮かびあがってくるような構造でもあるので、見事な展開だなと思ったのを覚えています。

 

 

──映画化するにあたって一番気をつけたのはどんなところだったのでしょうか。

全てを盛り込むと6時間ぐらいの映画になってしまうので(笑)、様々なものを削ぎ落とさないといけませんでした。原作を読んで僕が一番興味を惹かれたのは、12人の子供たちが何故あの場所に来て一体何をしたのかということ。そう考えると推理の部分やミステリーとしての流れみたいなものは最小限でいいんじゃないかというところに行き着きました。

 

 

──彼らがあの場所に行った理由やそれぞれの心情がしっかりと描かれていたので物語に入りやすかったのですが、さらにそこに推理ものの要素が加わって最後まで飽きさせない作りになっていました。

わりと丁寧なアバンタイトル(映画やドラマなどでオープニングに入る前に流れるプロローグシーン)があって、そこから混乱が起きて謎解きへと流れて、さらにラストはある意味謎が解けるという丁寧な構造になっていますよね。ただ、やはりミステリーに偏りすぎてそれぞれの人間模様が少しでも浮かび上がってこないようであれば作る意味がないので、そこは脚本家の倉持裕さんが見事にまとめてくださったので良かったなと思います。

 

 

──若い役者さんたちがしっかりと役の感情の変化を繊細に表現していらっしゃって、そこも本作の魅力ではないかなと思います。

今後の日本のエンタメ界を背負っていくであろう方々だと思いますし、みなさん本当に真剣にお芝居に取り組んでいました。あと、この作品は「気持ちを作るのが重要な映画だから、順番通りに撮らせて欲しい」と無理を言いました。本来なら順撮りは経済的にリスクを伴うのであまりやらないんですよ。たとえば病院のシーンなら、順番関係なくまとめて撮ったほうが効率がいいですよね。でも順撮りをした結果、役者の感情表現という意味では非常に功を奏したのではないかと思います。さらに長回しも多用して役者の緊張感を煽ることで、彼らの生き生きとした感情みたいなものを映すことが出来たのも良かったですね。