コロナと共に生きていく術
――昨年はコロナの影響で、堤監督も撮影中の作品が長期にわたって中断する事態にも見舞われましたが、その中でも精力的に舞台、映画、配信ドラマを手がけられていました。かなりお忙しかったのでは?
いや、そうでもないですね。去年5月に大怪我して入院しまして。その時はZoomで演劇を作るっていうのが結構流行っていて、何作か関わらせていただいた。それ以降は『ファーストラヴ』とか『望み』の編集、ダビング作業をしていましたが、往時の忙しさから比べれば・・・。この先どうなっちゃうのかという不安感みたいなものは、ずっとありますね。
――そうした時期だからでしょうか、自主制作で映画も撮られましたね。
役者の仲間が資金を集めて作った『truth~姦しき弔いの果て~』(2022年公開)という私の50本目の映画です。仲間数人でたった2日で撮ったものですが、ローマの映画賞(ローマ インターナショナルムービーアワード)で最優秀作品賞をもらったりして、怪我の功名ではありませんが、この時代だからこそ出来ることがまだまだいっぱいあるんだなと思いました。厳しい時代ではありますけれど、しかし、だからこそ頑張るぞというのはありますね。対策をしっかりして面白いものを作っていくと。
――その意味では、コロナ禍での撮影ノウハウも蓄積されたのでは?
そうですね。どうすれば撮れるかというツボは得てきたつもりです。こないだ伊豆大島で生島翔くんという、生島ヒロシさんの次男とダンスムービー(『Trinity』)を撮ったんですが、それはまさにツボを得た中でのアグレッシブっていうか、めちゃくちゃ過激なものが撮れたと思っていて。まあ通常、撮影って密なので、どうすればそれを避けられるかというと、広い所に行けばいい(笑)。そういう意味では、時代とともに生きていく術みたいなものはだいぶ学んでいきました。