–本作の収録などで思い出に残っている出来事があれば教えてください。
洲崎:泣くシーンですね。どうしても泣きじゃくっているようなシーンって別撮りになってしまうんです。長道が喋っている隣でつむぎがヒクヒクしてるところとか。テストは二人で一緒にやっているので、長道の心の動きが読めたり、言葉の掛け合いがあって自然と泣けてくるのですが、別録りだと強弱が難しくて、収録したものをいい具合に組み合わせてくださったと思います。今回は特に、恋愛的な繊細なお芝居も求められたのですごく難しかったです。
逢坂:僕もつむぎとのシーンです。すごく感情入れてやらせてもらったんですけれども、やはり「リアルすぎるのと、リアルな芝居は違うんだな」とあらためて感じました。第1弾PVでつむぎの名前を叫ぶシーンが入っていたのですが…撮り直しました。
洲崎:え、そうだったの!?
逢坂:あまりにも名前が言えてなかったんでしょうね。皆さんに聞かせる劇場での音声は、実はPVとは別の取り直したやつです(笑)。でも、一人でのリテイクでも、熱が残っていたので、感情を入れて演じ切ることができ、やはりそこは思い入れのあるシーンなんだなって実感しました。
–本作の見どころを教えて下さい。
洲崎:全部としか言いようがない…私は3回泣きました。
逢坂:泣けるシーンが多いのですが、それぞれ泣く感情が違うんですよね。悲しくて泣く、嬉しくて泣く、高ぶって泣く。それぞれに良さがあるので劇場で感じてほしいですね。
洲崎:その言葉にならない感情をスクリーンでお客さんと共有できるのが嬉しいです。お客さんの観終わったあとの顔を見に行きたいくらい(笑)。
–ポスターやPVからはすごく長道とつむぎの距離が縮まる様子が伝わってきますね。
洲崎:TVシリーズだと割とコミカルな感じで描かれていて、ギャグっぽさもあったんですけど、今回はつむぎと長道がしっかり対話するようになってます。
逢坂:あのハーレムアニメはどこに行ったのか!?っていう(笑)。
洲崎:でも、どのキャラクターのファンも楽しめる映画になっていると思います。
–ラブストーリーの色合いが強くなっているのを感じました。
逢坂:全てにおいて初々しさがあって、見てるこっちが恥ずかしくなってくるくらいで、でも本人たちはいたって真剣で。ある意味、本人たちに恋愛をしている自覚はないんじゃないかな…長道ってやはりそういうのに慣れてないですし、おそらく自分から女の子に気持ちをぶつけるなんて初めての経験で。それも告白というより、この子の悲しい気持ちをなんとかとめてあげたいっていうところから素直な気持ちを伝えただけのような。
洲崎:口に出して初めて、自分でもちゃんと意識してそうだよね。
逢坂:そんな感じがする。顔を赤くしながら言うんですけど、自然と気持ちが口から出たような。さぁこの子に告白するぞ、という感じではない気がしますね。
–本作で6年ぶりに長道とつむぎを演じましたが、収録前に過去のアニメシリーズを見返すなど、キャラクターを自身に呼び戻す作業はされましたか?
逢坂:僕は原作(漫画)は読み直しましたが、アニメは見直さなかったです。長いことやってきたので、長道という人物は僕の中にいて、あとは年齢を重ねた長道をどうイメージするかだけでした。その部分でも、あまり作り込みすぎても現場で対応できなくなったりするので、必要最低限に留めていました。
洲崎:私は割と見返すタイプで、収録2日前ぐらいにTVシリーズ第1期、第2期全部見ました。でも、当時ものすごい練習して現場に行っていたので、余裕でつむぎの声が脳内再生されちゃうんですよね。新しいセリフを見ても、自分がつむぎとして声を入れるイメージがすぐ湧くので、あらためてつむぎを起こす作業とかはそこまで時間がかからず、割と自然な流れで私もできた気がします。
–『シドニアの騎士』シリーズの戦闘シーンの迫力はどれも凄まじいですが、本作はTVシリーズを凌駕するスピード感と臨場感でした。プレスコで戦闘シーンを演じるのは大変だったのではないですか?
逢坂:どういう状況かというのはト書にあるのですが、どういう動きをしているかは想像するしかないんです。だから頭の中で自分が衛人に乗っている気持ちで、ここでどのくらいの衝撃が来るのか、止まったときにどういう息の飲み込み方をするのかとか。
–セル画などの素材もなく?
逢坂:ないです。ある意味、自分の想像力がものを言う現場で。今回は苦しいシーンが多かったので、意図的に喉を締める感じや、呼吸を浅くしたりとか、そういった技術的な面をいろいろ試しながらやっていました。