Sep 07, 2017 interview

高杉真宙は宇宙人っぽい?『散歩する侵略者』高杉真宙&恒松祐里対談

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究極の質問、その答えは!?

 

──本作では侵略者と対峙する鳴海(長澤まさみ)と桜井(長谷川博己)という2人の対照的な人間が描かれています。究極の質問ですが、高杉さん、恒松さんはどちらにより共感しますか?

恒松 えー、やっぱり私は鳴海さんですね。同じ女性として、愛する人を守りたいという気持ちには共感できます。でもその二択以外での回答が許されるのであれば、マーベル映画のヒーローみたいに侵略者と戦って地球を救いたいです。“地球のことは私に任せて!”って言いながら敵を倒したいです。

高杉 その回答、ずるくないですか(笑)? 僕は、桜井さんに100%共感できるわけではないけど、彼のとる行動は好きです。地球がこれからどうなってしまうのか、侵略者と一緒に見届けたいという気持ちもあります。

 

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──ここでもまさに対照的なお答えなんですね(笑)。ご自身で特に見応えがあると感じたシーンがあれば教えていただきたいです。

恒松 映画の冒頭であきらが、すごいことをしでかすんですよ。あれできっとドンッと衝撃を受けると思うので、そこは注目していただきたいです。そのシーンが何を象徴していたのかはストーリーの中で徐々に明かされて行くので、繋がった瞬間に、あれはそういうことだったのか、と思えるんじゃないのかな、と。2回、3回と観ていただくとより深く楽しんでいただけると思います。

高杉 僕は、侵略者の存在に気づいた桜井さんが演説をするシーンが好きなんです。もし自分があそこを通りかかったとしても、桜井さんの心からの声に耳を貸すことができるんだろうか、と考えてしまって。僕はきっと、スルーしてしまうと思うんですよ。そこに皮肉というか、風刺のようなものも感じて、とても心に残りました。それに自分が桜井さんの立場になったとして、あんな風に声を上げることは出来ないだろうなって。そう思いながら観ていたらとても切なくなってしまいました。

恒松 今日改めてお話をしてみてやっぱり高杉さんは天野っぽいな、と思いました。侵略者、傍観者、夫、妻、様々な視点で観ると、感じ方も全然違うので、考えを巡らせながら何度も観ていただけたらと思います。

──最後に、オススメの本を1冊ずつ伺えますか?

恒松 西加奈子さんの「きりこについて」です。あまり本を読まないタイプなんですけど、たまたま本屋さんへ行ったときに目についたのがこの小説で。私、猫を飼っているから、猫の表紙に惹かれて飼ってみたら想像以上のおもしろさで。猫を飼っている人にとっては“あるある”がたくさん書かれているし、文章も読みやすくて、いつの間にか本の世界に浸っていました。どっぷり本にハマるという経験を、この小説でさせてもらうことができました。次に読もうと思っているのも西加奈子さんの「白いしるし」という小説なんです。

高杉 僕は「ピアノの森」というマンガです。人からオススメされて読み始めたのですが、コマの書き込みのひとつ一つがとても繊細で。ピアノの音を絵で表現しているのですが、ページから音楽が流れてくるようでした。「ボールルームへようこそ」のようにマンガならでは表現に優れた作品や、絵柄がきれいで書き込みの細かいマンガに惹かれる傾向があるみたいで、「乙嫁語り」も好きです。

 

 

プロフィール

 

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高杉真宙

1996年7月4日生まれ、福岡県出身。2009年に舞台「エブリ リトル シング’09」でデビュー。2012年「カルテット」で映画初主演を飾る。公開待機作に『プリンシパル〜恋する私はヒロインですか?〜』、『世界でいちばん長い写真』(共に2018年公開予定)がある。10月より放送される連続ドラマ「セトウツミ」(テレビ東京系)で主演の内海想役を務める。

 

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恒松祐里

1998年10月9日生まれ、東京都出身。幼少期より子役として活動をスタート。2015年に映画「くちびるに歌を」「チキンズダイナマイト」や連続テレビ小説「まれ」、「5→9〜私の恋したお坊さん〜」などに出演し注目を集める。2016年には大河ドラマ「真田丸」2017年は、『ハルチカ』、『サクラダリセット前篇・後篇』など、話題の作品に立て続けに出演。

 

作品紹介

 

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映画『散歩する侵略者』

監督:黒沢清
原作:前川知大「散歩する侵略者」
脚本:田中幸子 黒沢清 
出演:長澤まさみ 松田龍平 高杉真宙 恒松祐里 前田敦子 満島真之介 児嶋一哉 光石研 東出昌大 小泉今日子 笹野高史 長谷川博己
配給:松竹 日活 
2017年9月9日(土)より全国ロードショー
(c)2017「散歩する侵略者」製作委員会
公式サイト:http://sanpo-movie.jp

 

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関連本紹介

 

『散歩する侵略者』前川知大/角川文庫

海に近い町に住む、ごくありふれた夫婦。夫・真治は数日間の行方不明の後、まるで別の人格になって帰って来た。素直で穏やか、でもどこかちぐはぐで話が通じない。不仲だった夫の変化に戸惑う妻・鳴海を置いて、真治は毎日散歩に出かける。一方、平穏だった町で一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発。取材に訪れたジャーナリストの桜井は、異世界からの“侵略者”の影を見る―。前川知大が主宰を務める劇団『イキウメ』が幾度となく再演を重ねる人気舞台を、劇作家自ら小説に。

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高杉真宙さんおススメ本

 

「ピアノの森」一色まこと/講談社

森に捨てられたピアノをオモチャ代わりにして育った、主人公・一ノ瀬 海。楽譜すら読めなかった彼は、かつて天才ピアニストと呼ばれた阿字野壮介や、偉大なピアニストの父を持つ雨宮修平と出会い、その才能を伸ばしてきた。17歳となったカイはショパン・コンクールに臨み、激戦を制してついにファイナルでの演奏に臨む。日本を飛び出し、ついには世界へと飛び出したのだった。

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恒松祐里さんおススメ本

 

「きりこについて」西加奈子/角川文庫

きりこは小学校の体育館裏で人の言葉がわかる賢い黒猫を拾った。猫に“ラムセス2世”と名付けかわいがっていたが、5年生の時に好きな男の子に“ぶす”と言われて強いショックを受け、引きこもってしまう。やがてきりこは“ラムセス2世”に励まされ、外へ出る決意をする。悩んだ末にきりこが見つけた、世の中で1番大切なこととは?