Sep 07, 2017 interview

高杉真宙は宇宙人っぽい?『散歩する侵略者』高杉真宙&恒松祐里対談

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“侵略者”演じる苦悩とは…

 

──天野と立花あきらは同じ侵略者でありながら、天野の方がより人間に近い雰囲気がありましたよね。

高杉 そうなんです。だから僕自身も最初は悩みました。人と侵略者の区切りってどこなんだろう、と。スクリーンでの天野は、最初から侵略者として登場するので、その過程を見せていくタイプの役ではなかったんですよね。服装も侵略者っぽい訳でもなく、見た目は完全に普通の少年で。だからこそどんな風に動けばいいんだろうと思っていたのですが、監督から「ここで突然立ち止まって、(長谷川博己演じる)桜井さんをじっと見ていて」と動きに対する指示を受けて。そういうちょっとした違和感の積み重ねで、観ている方がどこか引っかかるようなお芝居ができればいいなと思いながら演じていました。

恒松 私は役に対するアプローチの仕方が、人間と侵略者では全く違うんだな、ということに改めて気付きました。通常、人間の役でセリフを言うときは、その人の感情を読み取りながら言葉の上に乗っけていくことが多くて。表情は笑っているけどじつは怒っているんだな、など、隠された思いまで伝わればいいなと思いながら演じているのですが、侵略者にはそういった感情の動きがなかったので。特にあきらは。

高杉 あきらは動物みたいだもんね。

恒松 そうなんです、本能で動くから。なので、あきらを演じるときは長谷川(博己)さんのお芝居や現場の雰囲気に反応して受け身をとってから動くようにしていました。私が何かを考え出すと、それは私の考えになっちゃうので、なるべく何も考えずに周りから感じるように。放つ言葉にしても、本来の体の持ち主であるあきらを乗っ取って知った言葉の中で、「あ、いま汗をかいているな。これを暑いって言うのか」と思考が流れて、やっと“暑い”と口に出すような感覚で。とにかく全身で感じ取ろう、と。

 

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──アクションシーンでも動きも、まさに本能で動いているように映りました。

恒松 ありがとうございます。「あ、そこに敵がいる。じゃあ倒そう」みたいな感じでしたね。アクションは2ヶ月くらいかけて練習したのですが、初めての挑戦だったのでアザだらけになっちゃって。ネットで“アザ 消し方”で調べて、自力で治しました。

高杉 それはすごい! 僕はガンアクションのシーンがあったのですが、テストでは弾は出ない状態だったので、この人数の敵を倒すには、これくらいのスピードで撃つタイミングを教えていただいての練習でした。でも実際に本番が始まってしまうと、あれこれ考える余裕もなくひたすらガガガッと撃ちまくる感じで。正直テンションが上がりました。

 

とても穏やかで居心地の良い現場でした。(高杉)

 

──黒沢清監督の現場を経験されたことは若いお2人にとって大きな経験のひとつになったのではないかと思います。

高杉 そうですね、本当に勉強になることばかりでした。黒沢監督の現場はとにかく穏やかな現場で、大きな声を出している方も全くいなくて。

恒松 はい、とても居心地がよかったですね。監督は、役に対して「こうしてください、ああしてください」という指示を一切されなくて。動きやシーンの説明はしてくださいますが、あとはお任せします、という感じなんですよ。なので、最後の最後まで“これで合ってるのかな”と不安な気持ちもあって。監督に何回か「今のお芝居で合ってますか?」と聞いたんですど、毎回「大丈夫です」っておっしゃるから。答えがわからないまま彷徨う瞬間が何度もありました。

高杉 撮影中に一度、スタッフさん含めてごはんへ行ったときに、恒松さんがそんな話をしているのを聞いて、“ああ恒松さんも迷っているんだな”って思った記憶があります。

恒松 あんなに能天気なのにって思いました?(笑)。

高杉 いやいや、しっかりと芯を持ってあきらを演じているように感じるのに、内心ではそんな風に思ってるんだなって。

恒松 こんなところに仲間がいた〜って。

高杉 そうですね。僕自身もずっと迷っていたので。

恒松 完成披露上映会のときに監督が「僕自身も答えがわからないから聞かれても教えようがないんだ」っておっしゃってましたもんね。

 

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──それって他の現場ではめずらしいことなんでしょうか?

恒松 まだまだキャリアの浅い私が言うのもおこがましいですが、これまで経験したことのある現場と比べると、めずらしいことなんじゃないかなって思いました。あとは黒沢組のスタッフさんが素晴らしくこだわりのある方ばかりなのも印象的でした。

高杉 それはありましたね。現場へ行くと、完全にそういう雰囲気が出来上がっているので。この街のどこかに侵略者がいるんだって素直に思えるような違和感が漂っていて。

恒松 その道のエキスパートの方々が集結していたので、みなさんの繊細で丁寧なお仕事っぷりを目の当たりにしては“ああ私、いま映画を作っているんだ”という実感が湧いてきて、なんだか感動しました。

高杉 台本に書いてある世界観がそのまま浮き出てきたようなセットなんですよ。そこから醸し出されてくる空気感や、セットの力にかなり助けていただきました。

恒松 本当に! 完成した作品を観ても、現場の雰囲気がそのまま映像に出ているようでした。

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