Oct 19, 2017 interview

僕は現役の中2病です『斉木楠雄のΨ難』吉沢亮インタビュー

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超能力を持った高校生・斉木楠雄の日常を描いた大人気コミックが実写映画化!振り切れた笑いに定評のある福田雄一監督が、人間離れした個性的でパンチのあるキャラクターたちを3次元化に導いた。劇中で、仮想の敵“ダークリユニオン”と戦い続ける中2病まっさかりの海藤瞬を見事に演じきったのは、端正な顔立ちを持つ“正統派イケメン”の呼び声高い吉沢亮なのだから驚きだ。大の原作ファンである彼に、原作コミックの魅力、そして4回目となる福田組で芝居をした感想、役者が“笑い”を表現することについてなど、インタビューを敢行しました。

 

──もともと原作コミックのファンだったとお伺いしました。

そうなんですよ、「斉木楠雄のΨ難」の連載スタート当初から「週刊少年ジャンプ」で読んでいた大好きな作品なんです。しかも、普通にイチ読者として楽しみながら、実写化はありえないだろうけど、もしそんなミラクルが起きたら海藤瞬を演じてみたいな、と思っていたので運命的なものを感じてしまって。そのくらい思い入れのある作品とキャラクターなので、海藤役が決まってからも役のために原作を読み返したりすることもなく、自分の中にしっかり根付いている海藤を思うがままに演じさせていただきました。

──海藤瞬は典型的な中2病を患っていて、とにかく高いテンションの持ち主ですよね(笑)。特別な役作りなどはされましたか?

この役に関しては外から取り入れたものを発散させるのではなく、自分の中でグツグツと湧いているものをそのままスンッって吐き出しているような感覚で。海藤を演じる上での苦労はなかったので、つくづく僕って中2病なんだな、と思いました。海藤になるための特別なスイッチも用意せず、現場へ行くと自然と彼になれましたし。動き方や立ち方で、最初から決まっていること以外は現場で生まれたものも多くて、自分の中から自然と変な動きとか声が出てきました。

 

 

──吉沢さん自身もファンだったように、海藤は『斉木楠雄のΨ難』の中でも人気の高いキャラクターですが、演じる上でのプレッシャーなどはありました?

今回はあまり感じることがなかったんです。もちろん僕自身も原作ファンなのでイメージを裏切りたくないという気持ちは強いですけど、自分の中での海藤像が完璧に出来上がっていたので、自分にとって恵まれたこの状況をいかに楽しめるかっていうところに集中していました。

──海藤の魅力ってどんなところだと思われます? 中2病患者って一般的にはちょっといじられたり、場合によっては煙たがられる存在だったりすることもあると思うのですが…。

中2病の真っ最中であるというのも彼の大きな魅力のひとつですけど、それでいてめちゃくちゃビビりで、良いヤツなんですよ。闇を抱えてます、みたいな顔をしておきながら毎日楽しく暮らしていて、すごくかわいい。最近、連載の方で海藤の弟が出てくる回があったのですが、弟はお兄ちゃんを世界一の男だと思い込んでいて。そんな2人のやりとりを読んで、ニコニコしてしまいました。

 

 

初めて心から福田組での撮影を楽しむことができました

 

──福田雄一監督とは『銀魂』に続いて短いスパンでの再タッグですね。

福田組への参加は今作で4回目なのですが、毎回すごく賑やかなんです。スタッフさんも、キャストも、監督もみんな笑っていて、そのままのテンションで撮影が進んでいく。福田さんご自身がとてもリアクションがわかりやすい方なので、おもしろかったときはずっと笑っているし、おもしろくないときは当然笑わない。福田組へ参加する役者さんってみんなおもしろい方なので、現場でもバンバン爆笑をかっさらっていくんですよ。で、僕の芝居のときだけ笑いが起きなかったりすると、何か間違っていたんじゃないかと思って怖くなる瞬間があって。特に笑いが起きなかったときでも、芝居自体がOKだったら、そのまま進むんです。でもそれって悔しいじゃないですか。これまでは、その怖い瞬間が多くて緊張していることも多かったけど、今作で初めて福田組を心から楽しむことができました。

──今作のプロダクションノートに監督の言葉として、「この映画に限っては、リミッターをかけると損するよ」という一文がありましたが、それは現場でも共通認識として流れていたのでしょうか。

僕は直接その言葉をかけられた訳ではないけど、それぞれのキャラクターが濃すぎるので全力で没入していないと飲まれちゃうな、という気持ちはありました。僕自身はただひたすら自分の道を突き進んでいましたけど(笑)。みなさんおもしろいから負けたくないという気持ちはあって、セリフを言うタイミングや、言い方、間(ま)には僕なりにこだわったつもりです。

 

 

──完成した作品をご覧になって、海藤以外で印象的なキャラクターはどなたですか?

皆さんそれぞれすごかったですけど、特に橋本環奈ちゃん演じた照橋心美は、すさまじかったですね。年頃の女の子があんなことをしちゃって大丈夫なのかなって心配になるほどまさに狂気、という言葉がぴったりで(笑)。自分以外のシーンはゲラゲラ笑いながら楽しめたけど、自分のシーンはちょっと恥ずかしくて。演じているときは心から楽しかったけど、改めてスクリーンで観ると、“み、観ないで〜!”という感情が湧いてきたのは我ながら不思議でした。

──海藤のシーンは全てインパクトがありましたけど、詳細はネタバレになるので避けますが、文化祭で大量のボーリングの球を引きずっているシーンは特に印象的でした。

あれ、本当に重かったんです。ボーリングの球を7個、一気に引きずる経験なんてそうそうないじゃないですか。想像以上に大変でした。あんなに必死で本気を出して運んでいるのに端から見るとすごく滑稽で。あのシーンは演じていてもなんだか切ない気持ちになっちゃいました。