Dec 22, 2023 interview

ザック・スナイダー監督 インタビュー 『REBEL MOON — パート1: 炎の子』原点回帰、映画青年の夢の続き

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原点回帰にして最新の到達点

もうひとつ『REBEL MOON』の基になったのは、スナイダーがまだ大学生の頃に着想したアイデアだった。「いつか、宇宙が舞台の『七人の侍』や『特攻大作戦』(1967)をつくってみたい」――彼はそんな当時の夢を叶えたのである。10年以上前、スナイダーは本作のアイデアを『スター・ウォーズ』のスピンオフ企画にしたいと考え、ルーカスフィルムに企画を持ち込んだこともあったほどだ(しかし、当時すでに『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)が動き出していたために採用されなかったという)。

神話やコミック、映画、そしてあらゆるポップカルチャーに造詣の深いスナイダーは、日本のアニメ『宇宙戦艦ヤマト』もこの作品に影響を与えたうちのひとつだと語る。かたわらのポスターを指さして、「この船なんて、明らかに”ヤマト”でしょう」と笑顔を浮かべた。

「この映画は、僕の映画言語や美学を育ててくれたあらゆる作品へのラブレター。自分の映画哲学をまとめたものだとも言えます。僕と同年代なら、誰もが1977年から1987年までの映画にすさまじい影響を受けているはず。『スター・ウォーズ』に始まり、『ブレードランナー』(1982)や『エイリアン』(1979)『エイリアン2』(1986)があって、『ブルーベルベット』(1986)に終わる。『エクスカリバー』(1981)も、哲学や神話をしっかりと表現した大好きな映画です」

すなわち『REBEL MOON』は、スナイダーにとってひとつの原点回帰なのだ。そして、同時にDC映画を含む数々の大作を手がけたゆえの到達点でもある。本作では『アーミー・オブ・ザ・デッド』(2021)に続いて撮影監督を兼任しているが、それはキャリアを通じて変化してきた、映画づくりに対する取り組み方の表れだ。

「大学を出たあとCMを撮っていた頃は、監督と撮影の両方を自分でやっていました。12年もの間、監督と撮影は切り離せないものだと考えていたのです。だから『ジャスティス・リーグ』などの大作をつくるようになると、実際の映画づくりから遠ざかってしまった気がしました。狭い部屋にモニターがあって、遠くから俳優たちに「みんな、やるぞ! アクション!」って叫ぶなんてね(笑)。そういう経験から、『アーミー~』では昔から愛着のある撮影やカメラに再び向き合うべく、自分自身で撮影をすることにこだわりました。それが本当に楽しくて、今回も自分が撮ることにしたんです」

撮影機材にもこだわるスナイダーは、本作の撮影に1960年代の日本製アナモフィックレンズ「CINEOVISION」を使用。ドイツ・ライカ製のレンズと組み合わせ、自作のレンズを完成させた。レンズの外側に刻まれた日本語は、スクリプターのキミ・ウェバー(日本生まれ)が訳したものだ。「かっこいいでしょ?」と取材陣に写真を見せてくれた。