『マン・オブ・スティール』(2013)や『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2017)など、DC映画ユニバースに人生の約10年を捧げた映画監督ザック・スナイダーが、ついに完全オリジナルのユニバースをひっさげて帰ってきた。
Netflix映画『REBEL MOON』は、『パート1: 炎の子』(2023年12月22日配信)と『パート2: 傷跡を刻む者』(2024年4月19日配信)からなるSF巨編。スナイダーが長年温めてきた構想のもと、主演のソフィア・ブテラをはじめ、チャーリー・ハナムやアンソニー・ホプキンス、ペ・ドゥナ、ジャイモン・フンスー、エド・スクラインら豪華キャストが結集した。
このたび、スナイダーはファン待望の配信開始に先がけて来日。本作にこめたフィルムメイカーとしての思いや、今後のユニバース構想、そしてまだ誰も観ていない「R指定版」について語った。
『七人の侍』『スター・ウォーズ』の影響
圧倒的な政治力と軍事力を誇る、巨大銀河帝国「マザーワールド」が宇宙を制する時代。主人公のコラ(ソフィア・ブテラ)は、帝国の支配を受けない平和な衛星・ヴェルトで、過去を捨てて静かに暮らしていた。しかし突如、ノーブル提督(エド・スクライン)率いるマザーワールドの軍勢が現れてヴェルトの支配を開始する。
コラは住民たちを救うため、マザーワールドへの反乱を決意し、銀河のあちこちにいる反乱者を集める。ヴェルトの農民であるガンナー、殺し屋のカイ、酒浸りの将軍タイタス、元王子の戦士タラク、二刀流の剣士ネメシス、反乱の戦士を率いるデブラ&ダリアン姉弟。はみ出し者の彼らは力を合わせ、帝国を倒すことができるのか‥‥。
このストーリーからも想像できるように、本作に大きな影響を与えたのは『スター・ウォーズ』と黒澤明監督『七人の侍』(1954)。スナイダーは早くから、「この作品のお手本は『七人の侍』だ」と確信していたという。
多くの映画監督と同じく、スナイダーも子どもの頃に『七人の侍』と出会ったひとり。もっとも彼の場合、最初に触れたのはリメイク版の西部劇『荒野の七人』(1960)だった。
「なにしろ、僕はアメリカ人ですから(笑)。僕みたいなアメリカの少年の場合、『荒野の七人』を観てから『七人の侍』に出会うと面白い発見をするわけです。”いやいや、西部劇でしょ”と思っていたものに、実はルーツがあり、とても巧みに脚色されていたことを学ぶ。いわば文化的な覚醒です。『七人の侍』はシンプルかつ普遍的で、数々の映画人に大きな影響を与えてきた作品。この映画で参照することは理にかなっていると思いました」