「迫力がすごかった」ラリーカー体験を述懐、印象に残るのはやっぱり共演シーン
──ライバル役として意識したところは?
北村 ライバル役を意識してやらせてくれたのは真剣佑だったからかなと思っています。まずは筋トレしなきゃなーって(笑)。とりあえず視覚的情報として張り合ってる感じを出したいと思って鍛えましたけど、鍛えた上でさらにマッケンが鍛えてくるっていう。負けたわ~って(笑)。
新田 僕は意識というよりは匠海ならやってくれると思っていたから全く心配もなくて、安心感しかなかったです。全部委ねられました。匠海の好きなようにやってほしいし、存分にその魅力を放ってほしいなと思っていました。まさにその通りだったからすごいなと思ってたし…。基本的に褒め合いになってくるね(笑)。
北村 二人の取材だとそうなるよね(笑)。
──身体を鍛える以外で、役作りで取り組んだことは?
北村 ラリーの勉強はもちろんしましたし、実際にラリーカーの助手席に乗せてもらってコーナーに切り込む体験をさせていただきました。ジェットコースターにずっと乗っている感覚で、すごかったです。ドライバーさんは怖いもの知らずで、何もかも車に懸けている感じがして、演じる上ですごく勉強になりました。人生でラリーカーに乗るってそうそうないので良い経験でしたね。見ているのと実際に乗るのでは、やっぱり体感として全然違いました。
新田 僕も助手席で、忙しいドライバーさんの動きを観察していました。中ではこんなことが起きてるのかって想像もつかなかったです。足も腕も首も全部使っているんですよ。迫力がすごかったです。
──特に思い入れのあるシーンはありますか?
新田 匠海とのシーンが本っ当に印象的なんだよなぁ。他はあんまり記憶がないんです(笑)。集中するとのめり込んで記憶を飛ばしちゃうので、聞かれても全然覚えてないんですけど、匠海とのシーンは短かったけど、長い間撮影してたから。記者会見のシーンでのピリピリ感はすごかったね。
北村 そうだね。あとは夕陽の30分を狙うために、朝から3回くらいリハーサルして効率をあげてから撮影に取り組んだシーンがあったんです。ホテルで僕らが初めて対峙して肩がぶつかってバチッとするというシーンなんですけど。その30分間という程よい緊張感がある中で、ずっと本番でカメラを回していたあの時間もそうだし、真剣佑と対峙した時のお芝居もすごく印象に残っています。
オススメの“1冊”はコンセプチュアルな“魚図鑑”、映画化もされたアメリカの青春小説
──ありがとうございました!最後に、「otoCoto」では、最近読んだものや昔からの愛読書、おススメ本など、みなさんに本を1冊挙げていただいています。北村さんは、『君の膵臓をたべたい』でご登場いただいた時(https://otocoto.jp/interview/kimisui/)は「永い言い訳」、『恋と嘘』の時(https://otocoto.jp/interview/koiuso/)は「火花」を挙げていましたが、最近はいかがでしょうか?
北村 サカナクションさんのベストアルバム『魚図鑑』に付いているブックレット「魚図鑑」は面白かったです。海の深さとかに合わせて全曲を解説していて、曲を作った経緯とかがわかる。アーティストとしても、本としても、コンセプチュアルで興味深かったです。普段は電子書籍で読むことも多くて、漫画もよく読んでいます。
──新田さんの“この1冊”はどんな作品でしょうか?
新田 「The Perks of Being a Wallflower」という小説が好きです。映画『ウォールフラワー』(2011年)の原作で、アメリカにいた高校生の時に読んだんですけど、世界観がとても好きで興味深かったです。普段は台本以外、読まないんです(笑)。原作がある場合でも、あえて読まないことが多いです。あまり器用な人ではないので、原作を知っているとどうしても引きずられてしまうので。映画と漫画は全く違うものですし、映画の中での良さを出していきたいと思っています。
取材・文/熊谷真由子
撮影/佐野円香
新田真剣佑
ヘアメイク/粕谷ゆーすけ(ADDICT_CASE)
スタイリスト/櫻井賢之
北村匠海
ヘアメイク/佐鳥麻子
スタイリスト/鴇田晋哉
新田真剣佑(あらた・まっけんゆう)
1996年生まれ、米ロサンゼルス出身。2014年より日本を拠点に活動を開始。映画『ちはやふる—上の句/下の句—』(16年)で第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な出演作に『少女』(16年)、『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話』『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(17年)、『不能犯』『ちはやふる -結び-』『パシフィック・リム:アップライジング』(18年)など。『劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命–』(7月27日公開)が待機している。
北村匠海(きたむら・たくみ)
1997年生まれ、東京都出身。2008年、『DIVE!!』で映画初出演。2013年にDISH//のボーカル&ギターとしてメジャーデビューを果たし、音楽と俳優のそれぞれで活躍中。俳優としては、初主演作『君の膵臓をたべたい』(17年)で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な出演作に、映画『セーラー服と機関銃 -卒業-』『あやしい彼女』『ディストラクション・ベイビーズ』(16年)、『恋と嘘』『勝手にふるえてろ』(17年)、ドラマ「仰げば尊し」(16年)、「隣の家族は青く見える」(18年)など。待機作に『春待つ僕ら』(2018年冬公開)がある。
映画『OVER DRIVE』
世界最高峰のラリー競技・WRC(世界ラリー選手権)の登竜門・SCRS(SEIKOカップラリーシリーズ)。スピカレーシングファクトリーと、ライバルチームのシグマ・レーシングの優勝争いは激しさを増していた。コンマ1秒を競う世界で、WRCを目指すスピカ所属の天才ドライバー・檜山直純(新田真剣佑)は、真面目で確かな腕を持つメカニックの兄・檜山篤洋(東出昌大)の助言を無視し、リスクを顧みない勝気なレースを展開。ラウンド毎に二人は衝突し、いつしかチームにも険悪なムードが漂い始める。ある日、直純のマネジメント担当として遠藤ひかる(森川葵)がやってくる。彼女を待ち受けていたのは、兄弟の確執に秘められた過去と、チームを巻き込む試練だった。そんな中、直純とシグマ所属のライバル・新海彰(北村匠海)の優勝を懸けた激闘が始まる――。
映画『OVER DRIVE』
監督:羽住英一郎
脚本:桑村さや香
出演:東出昌大 新田真剣佑
森川葵 北村匠海 町田啓太 要潤 / 吉田鋼太郎
音楽:佐藤直紀
主題歌:WANIMA「Drive」(unBORDE/Warner Music Japan)
配給:東宝
2018年6月1日(金)公開
©2018「OVER DRIVE」製作委員会
公式サイト:http://overdrive-movie.jp/
「The Perks of Being a Wallflower」スティーブン・チョボスキー(著)
多感な少年チャーリーが経験する青春の喜びと痛みが描かれる、アメリカの作家スティーブン・チョボスキーによる小説。「ライ麦畑でつかまえて」の再来とも評され、アメリカで200万部超のセールスを記録した青春小説の金字塔。2012年、チョボスキー自身が監督を務め、ローガン・ラーマンとエマ・ワトソン、エズラ・ミラーの出演で映画化された。
「魚図鑑」/サカナクション『魚図鑑』付属
メジャーデビュー10周年を迎えたサカナクション初のベストアルバム『魚図鑑』(発売中)の初回限定盤および期間生産限定盤に付属するブックレット。サカナクションの楽曲をさまざまな視点から考察、解析し、代表曲34曲の情報を体得できる濃密な内容となっている。