Jan 11, 2018 interview

男女で全く違う感想を抱く『伊藤くん A to E』、岡田将生にとっては「謎だらけの女性たち」が登場?!

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実在する男性をモデルに書いたという柚木麻子による小説『伊藤くん A to E』が、廣木隆一監督によって実写化される。岡田将生演じる“痛い男”の“伊藤くん”が5人の女性を振り回し、次々と飛び出す本音に衝撃が走る今作は、女性と男性からの目線で全く違った受け取り方が出来る作品だ。今作で“伊藤くん”を演じた岡田将生に、自分とは正反対な“伊藤くん”への憧れや、今だからこそ思う俳優業の面白さ、大変さをたっぷりと話してもらった。

 

“伊藤くん”は「やりがいのある役」、5人の女性には「ほぼ共感できませんでした(笑)」

 

──まず、原作を読んだ時の印象を教えてください。

僕は男なので、どうしても男性目線で読んでしまいました。同じ男性として、伊藤から自然と目が離せなくなりますし、彼が次に何を言うのか、全く想像がつかないんです。なので読むスピードもすごく早かったですね。特に印象的だったのが、伊藤に出会う女性たちが、彼のダメな部分と、自分のダメな部分を目の当たりにして、どんどん変わっていくところ。清々しくもあり、伊藤のダメさがどんどん露呈していって、違う意味での伊藤のすごさを感じました(笑)。

 

 

──伊藤くんのダメさ加減は、振り切れていますよね。

そうなんです(笑)。ある意味、やりがいのある役だと感じていました。それに、原作を読み進めていくうちに、AからEの5人の女性の見たくない部分がどんどん出て来て、改めて女性の心理は男性には理解できないと思いました。今後のために、女性のことをもっと勉強しなくちゃいけないとも思いましたね(笑)。

 

 

──5人の女性のどんなところが共感できなかったんですか?

ほぼ共感できませんでした(笑)。佐々木希さんが演じた“都合のいい女”は、なんとなく気持ちがわかりましたが、もし僕が彼女の友達だったら、伊藤にここまで振り回される姿を見た瞬間、「即別れた方がいい」とアドバイスすると思います(笑)。友達の好きな人と寝てしまう女心もさっぱりわかりません……。男性の僕からしたら、謎だらけの女性たちがたくさん出てきますが、女性のみなさんは、この女性側のキャラクターにすごく共感したと言ってくださるんですよね。こんなにも、男性か、女性目線かによって感想が違う映画は初めてなので、早くみなさんの感想が聞きたいです。

 

 

「ある意味、理想的」な“伊藤くん”に憧れる理由、自分の中の“痛い部分”を分析

 

──伊藤くんは、かなりの“痛い男”ですが、演じているうちに伊藤くんへの気持ちは変わりましたか?

変わりましたね。僕は、演じている以上、その役に愛着を持って演じたいんです。もちろん、伊藤に対して理解も出来ないし、なぜそんな言葉を言ってしまうのかもわからないんですが、あまりにも自分の思うままに生きている姿を目の当たりにして、だんだん可愛く見えてきたんです。だって、思っていることをそのまま言ってしまったり、行動に移したりする人ってあまりいないですよね。これって、相当ピュアじゃないと出来ないと思うんです。それに彼は、“自分が傷つかない場所”をわかっているんですよね。ただ、そこに女性が入ってきてしまうから、大変なことになってしまうんです(笑)。でも、普通の人間はそのテリトリーを広げて、いろんな人とコミュニケーションを取りながら成長しようと思うはずが、彼はそれを全く思わないんですよ。そんな生き方って、ある意味、理想的で。最後には伊藤みたいな生き方が羨ましくなりました(笑)。

 

 

──伊藤くんをだんだんと肯定的に捉えるようになったんですね。

撮影中、伊藤のことをどんどん好きになっていっているということを廣木監督に話したら、「いい傾向だ」と言われました(笑)。伊藤の考え方は、新たな人種というか、今の日本では受け入れてもらえないタイプかもしれないですが、海外なら通用するんじゃないかとも思っています。

──伊藤くんって、言っていることは正論が多いですよね。

彼の中には一本、太い芯が通っていますからね。でも、だからこそ何も変化しないんです。普通であれば、人間は何かある度に成長していきますが、彼は変わらない。その生き方に清々しささえ感じるんです。それに、彼が話している言葉は、どこまでが嘘で、どこまでが本気なのかが読めないところも面白いんですよね。

──岡田さんがご自身で、“痛い男”だと思う部分はありますか?

伊藤は積極的に手を挙げて発言するタイプですが、僕は逆。内にこもって、自分の意見をあまり言う事ができないんです。そこは変えたいと思っているのに変えられない“痛い部分”ですね。そう考えると、伊藤と僕は正反対の性格なのかもしれません。だからこそ憧れるのかもしれないですね。