Aug 26, 2016 interview

ブーム再燃中の『魔法の天使クリィミーマミ』リメイクの可能性を聞いてみた!!

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(編集部):

先ほど、『魔法の天使クリィミーマミ』30周年のお話がでましたが、最近そのせいか、多くの場所でマミの姿を見かけるようになりました。ひょっとして今後、何か大きなプロジェクトを予定されたりしているんでしょうか?

布川

いやいや、残念ながら具体的な話は何もないですよ。中川翔子ちゃんが盛り上げてくださったりして本当にありがたいと思っていますが、何かの仕込みがあるというわけではないです(笑)。

(編集部):

う~ん、それは残念。密かに期待していた人も多いと思うんですが……。

布川

ちなみにそのマミブームについてはちょっと面白いことが起きていて、放送当時とかなりファン層が変わっているんですよ。当時は『うる星やつら』のファンを引き連れてきたということもあって、男性が7、女性が3という感じだったのですが、今回のブームではほとんどが女性ファンになっています。

高田

子供の頃に変身ステッキなどのおもちゃを買ってもらえなかった女の子が大人になって……という感じみたいですね。実は日本だけでなく、海外でもイベントをやっていただいているんです。特に香港では人気が高く、30周年以降、期間限定ストアが何度もオープンしています。

 

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(編集部):

海外でも人気なんですね!

高田

あと、洋服のしまむらさんで、何度か『魔法の天使クリィミーマミ』のキャラクターTシャツが発売されているそうで、それが子供に人気だという話も聞きました。

(編集部):

アニメを見たことがないであろう小さい子にも支持されるというのはすごいですね。それこそまさに高田さんのデザイン力なればこそじゃないですか。

高田

完全オリジナル作品で、しかもキャラクターデザインを自分一人で担当したということもあって『魔法の天使クリィミーマミ』は最も思い入れの強い作品。しかも、自分本来の絵柄に一番違い作品でもあるんです。それが支持されるというのはうれしいですね。

(編集部):

さて、高田さんというとぴえろ魔法少女シリーズというイメージなのですが、それとは対極の男の子向けロボットアニメ『機動警察パトレイバー』でもキャラクターデザインを担当されました。その辺りのお話をお伺いできますか?

高田

80年代の中頃、伊藤さんや漫画家のゆうきまさみさんら、仲の良かったクリエイター仲間で連れ立って温泉旅行にでかけるということがありました。そこでやった「企画ごっこ」に出てきたのがパトレイバーの元となるアイデア。それを、その年のクリスマスに伊藤家のホームパーティでバンダイビジュアル鵜之澤さんにプレゼンしてアニメ化することが決まったんです。

(編集部):

それが現在では「アーリーデイズ」と呼ばれているOVA全6話なんですね。

高田

当時のOVAは1本あたりの値段がすごく高くて、おいそれと手が出せるものではありませんでした。そこでそれをブロックバスターする低価格OVAシリーズとして展開することに。まずは6本やることが決まっていて、売れたら続きをやれるという話になっていました。

(編集部):

結果は大ヒット、ですね。

高田

初の非・ファンタジー作品ということで、どういうデザインにするかとても苦労させられたのですが、結果的には大きく育ってくれてありがたい限りです。今でも新作が作られ続けていますもんね……というか、布川さん、マミもすごく盛り上がってるんですけど、本当に何にもないんですか?(笑)

布川

え……そこからそういう話になるの?(笑) 『魔法のステージファンシーララ』(1998年)なんかはそのつもりで作ったんだけどね。

(編集部):

12年ぶりのぴえろ魔法少女シリーズということで当時話題になりましたよね。もちろんキャラクターデザインは高田さんで。

高田

私が参加したときにはすでにお話の大枠が決まっていたので、キャラクターデザインとしてそこに参加することはできなかったのですが、それでも「ロマンスをもっと!」と男性キャラを何人か追加させてもらいました。特にスタイリストのコミさんは成功だったかな。最終回で良い活躍をしてくれました。

(編集部):

アニメ業界の技術力も向上していて、高田さんのタッチをより細かく再現できていたのも魅力的でした。そして、これを見た当時も、やっぱりこのクオリティで『魔法の天使クリィミーマミ』を作ってほしいなぁと思ったものです。

布川

それは分かるんですが、『魔法の天使クリィミーマミ』はきちんと完結した話だけに、続きを作るのがとても難しい。リメイクするにしても今だとだいぶ設定を変えないといけなくなってしまうのが悩みどころでね……。いや、実はいろいろなお話はいただいています。でも、当たったものを作り直すのってリスクが大きいんですよ。昔のファンが見て「こんなの『魔法の天使クリィミーマミ』じゃないよ」って言われるようなものにはしたくないですし。

(編集部):

たとえばライブの部分だけリメイクするとかいかがですか?

高田

ラストコンサートを作り直しましょうよ!

布川

なるほど……そういうやり方もあるのか……ちょっと考えてみるかな……。

(編集部):

ぜひぜひ!

高田

そうそう、せっかくなのでここで1つ告知させていただきたいことがあるんですけど、良いですか?

(編集部):

はい、なんでしょう?

高田

OVA『魔法の天使クリィミーマミ 永遠のワンスモア』のLDジャケット絵など、いくつかの生原稿が私の元に返ってきてないんです。これ、怒らないので持っている人はスタジオぴえろまで連絡してください!

(編集部):

お心当たりのある方、ご一報を! ……最後に、高田さんが今後のアニメ界でやっていきたいことを教えてください。

高田

まずは現在、TOKYO MX『ニャンだ?フル テレビ』などの枠内で放送中の短編猫アニメ『CoCO & NiCO』をがんばります。世界では約160か国で放送/配信中なんですが、日本ではまだ見る方法が限られているので、これを広げていきたいですね。

(編集部):

『CoCO & NiCO』の見どころはどこですか?

高田

猫のかわいさ、ですね(笑)。各話1分しかないので、続けてみないとお話が分からないところもあるんですが、ネット配信もされていますので、見てやってください。主人公のココとニコは『魔法の天使クリィミーマミ』のネガ&ポジっぽく見えますけど、それとはちょっと異なる魅力を感じていただければ。お姫様ものがお好きな人にもおすすめです。

(編集部):

海外メイン作品ということで押さえていなかったという人も多いんじゃないでしょうか。知らなかったという人は、これを機にぜひ。

高田

今年2月に開催した東急吉祥寺店でのクリィミーマミ中心の個展もおかげさまでご好評をいただき、来年も継続することになりました。個展以外でも、東急全店のお正月と夏の福袋でミニ額入りの複製画が通販されて、会場にいらっしゃれなかったクリィミーマミファンの皆さんに喜んでいただいています。年内にはクリスマスシーズンのソラZENONのイベントも控えています。近々、私のイラストを使用したグッズの通販サイトも開く予定です。販売予定の来年のカレンダーには描きおろしのイラストも入ります。マミファンの皆さんは今後の展開も期待していてくださいね。

布川

高田ちゃんにはずっと現役として絵を描き続けていってほしいよね。

高田

だったら、やっぱりマミの新作やりましょうよ!!(笑)

 

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構成 /山下達也  撮影 /田里弐裸衣

 

 

関連リンク

 

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『CoCO & NiCO』オフィシャルFacebookページ

https://www.facebook.com/CoCOandNiCO

 

関連書籍

 

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『クリィミーマミはなぜステッキで変身するのか? 愛されるコンテンツを生むスタジオの秘密』

布川郁司 (著) / 日経BP社

布川郁司(ゆうじ)著、カバー・扉イラストを高田明美先生が描き下ろした話題の書籍

■電子書籍で購入する
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Creamymami

『これまでも これからも いつだってクリィミーマミ!』

高田 明美 (著)/ホビージャパン

 

 

プロフィール

 

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高田明美(たかだあけみ)

東京都出身、牡羊座。
幼少時より、何よりも描く事に熱中、現在に至る。多摩美術大学でグラフィックデザインを専攻、
卒業後(株)タツノコプロに入社。
職業としてのキャラクターデザインを学ぶ。フリーになってからの代表アニメーション作品に「うる星やつら」
「魔法の天使クリィミーマミ」「きまぐれオレンジ☆ロード」「機動警察パトレイバー」「魔法のステージ ファンシーララ」がある。

上記作品のキャラクターデザイン及びパッケージイラストの他に、ジュブナイル装丁挿絵多数。
アメリカ、香港、台湾で原画展開催。
日本でも定期的に個展、グループ展を開いている。
ここ10年以上ジュエリー制作にも興味を持ち、
2次元を超えて “ 幸福な世界観 ” を立体的に表現する事にも興味を広げている。

現在、世界150カ国のNHK WORLD及び国内はMXテレビ、中京テレビで、猫のお姫様のショートアニメシリーズ〝 CoCO & NiCO〟を放映中。
[CoCO & NiCO]
https://www.facebook.com/CoCOandNiCO/
公式サイト [Angels]
http://www.takada-akemi.net

 


 

nunokawa

布川ゆうじ(ぬのかわゆうじ)

株式会社ぴえろ 取締役最高顧問
財団法人 日本動画協会前相談役(2009〜2014年理事長)
山形県酒田市出身
日本デザインスクール卒業後、虫プロ、スタジオジャック、タツノコプロダクションにてアニメーター、演出家として数多くの作品を手がける。
代表作「いなかっぺ大将」「キャシャーン」「タイムボカン」「ヤッターマン」など。
1979年 株式会社ぴえろ 設立
代表作「ニルスの不思議な旅」「うる星やつら」「魔法の天使クリィーミーマミ」「幽☆遊☆白書」「NARUTO」「BLEACH」「東京喰種」など。
テレビ作品80作品以上、映画20タイトル以上の企画、制作に携わる。
2013年 著書「クリィミーマミはなぜステッキで変身するのか?」出版