政府通知制度が実際にあったら…
──政府通知が実際にあったらどうしますか? 従いますか?
森川 会ってみて本当に好きになれたら従います。
佐藤 僕もそうだと思います。
北村 そこは自由だもんね。僕も従うとは思う。
森川 合うけど好きになれない人っているじゃないですか。好きになれなかったらいくら合ってても良くないと思うし。
北村 今の感覚で言ったら、政府通知の人を好きになるかなんてわからないっていう感情が先にくると思いますけど、誰もが政府通知の相手と結婚するのが当たり前の世界だったら、恋愛のカタチが今とはきっと違うと思う。
佐藤 政府通知が来る前に、すっごい好きでこの子と結婚したい!と思うような子がいたら難しいと思います。でも、何も知らずに政府が選んでくれた人と結婚するのが当たり前で、自分の祖父祖母、両親もそれで結婚していて、それが普通だって思っていたら、そもそも人を好きになろうって努力しないと思う。女の子とも友達止まりになっちゃいそう。僕、すごい友達になりやすい体質だし(笑)。本当に好きな子ができてなかったら、(政府通知を)すんなり受け入れちゃうかなあ。
──葵はお姫様になりたい願望がありましたけど、こんなかっこいいふたりに好きになられて、すでにお姫様でしたよね(笑)。
森川 ホントですよね。こんなイケメンふたりに好きになってもらって奪い合われるみたいなの、憧れますよね。ふたりとも自分を押し付けないけど、ちゃんと好きって伝えてくれるし、優しさを見せてくれるし、ずるいなあ~って思います。それにアイツのためだったら俺は引くよみたいな男らしさもあるからふたりともかっこよくて、どっちも選びきれない。まさに映画みたいな感じです。
北村 僕ら、(顔が)濃いけど、大丈夫?(笑)
佐藤 僕ら、顔の濃さが東南アジア系だから(笑)。
森川 (笑)。
──胸キュンシーンも多かったですが、実際にこれはたまらんな!と思ったシーンは?
森川 高千穂くんと水族館に行って、「もう黙れ」っていうシーンにはキュンキュンきましたね。
北村 あれはずるい! 最高級の台詞でしょ、あれは。
佐藤 ありがとうございます(笑)。
森川 それまでずっとツンできてるのに、急にデレッてする高千穂はずるかったです。
北村 この作品で、多少なりとも強引さは必要なんだなって学びました(笑)。
佐藤 わかる!(笑)
森川 うん、女の子は多少なりともグイッとしてほしいものだよ。北村 僕はどちらかと言えば、彼女が好きそうなクレープを2種類買っておいてどちらを選んでも大丈夫にしておくようなタイプなんですけど、そういう中でもどこかで強引さを垣間見せないと幸せになれないなと思った(笑)。もっと大人になったら頑張ります。
──今回、原作とは違うストーリーになっていますよね。
森川 私はアニメも好きなので実写化されたときに、え、違うじゃん!と思ったりすることもあるので、原作が好きな方の気持ちがすごいわかるんですね。今回は設定だけ持ってきたというふうに言えちゃうんですけど、そうじゃなくて、この設定と『恋と嘘』というタイトルをいただいて、新しい『恋と嘘』を作って、もっと『恋と嘘』の世界が楽しめるというように考えてもらえたらいいなって思います。
北村 今は原作ものが多いと思います。僕もこの前、出演した作品も原作があったし(『君の膵臓をたべたい』)。やっぱり原作の良さとそれを映画にする意味があってこその実写だと思うので、この作品はアナザーストーリーとして楽しんでほしいと思います。原作の素晴らしい世界観を崩さず、この3人でそれだけの世界観を作れたんじゃないかなと思っています。あと、原作を読んでからこの映画を観ていただくと、また見方も違ってくるのかなと思うので、原作ファンの方にぜひ観ていただけたらいいなと思います。
佐藤 もう言うことなくなっちゃった(笑)。
森川 頑張って!(笑)
北村 ひっぱりだして!(笑)
佐藤 葵ちゃんも言ってましたけど、原作ものが映画化されると、これなんか違うとか思う人は必ずいるじゃないですか。でも今回、設定を借りてやっているので、原作やアニメの『恋と嘘』のファンの方が映画を観ると、冒頭からもうこの世界に没頭できると思うので、アナザーストーリーっていうのがいい意味で効果を発揮するんじゃないかと思います。僕らも胸を張って原作ファンの方に観に来てくださいって勧められます。
──皆さんの愛読書、または最近読んで面白かった本を教えてください。
佐藤 僕は今年読んだ小説だと、伊藤計劃さんの「虐殺器官」がめちゃくちゃ面白かったです。近未来チックなお話で人間の心理をすごく深く掘り下げているし、状況が鮮明に頭に浮かび上がるような文章に惹き込まれました。
北村 僕は最近だと又吉さんの「火花」が面白かったです。芸人さんが描く芸人の世界なので視点も面白かったです。ドラマも観ているんですが、原作を先に読むことももちろんあるけど、僕は実写化された作品を観てから、その後で原作を読むのも好きなんです。
森川 佐藤ざくりさんのマンガ『アナグラアメリ』が最近では面白かったです。ヒロインの名前は森川あめりちゃん。本屋さんで試し読み用の冊子をたまたま手に取って読んでみて、私の名前と似てるわ~と思ってそのまま気になって買っちゃいました。
取材・文 / 熊谷真由子
撮影 / 三橋優美子
森川 葵
1995年6月17日生まれ。愛知県出身。2010年に『Seventeen』のオーディションに合格し、モデルデビュー。2012年からは女優活動もスタートさせ、『渇き。』(2014)、『人狼ゲーム ビーストサイド』(2014)『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(2016)、『金メダル男』(2016)などに出演。今後も『嘘八百』『OVER DRIVE』が公開予定。
北村匠海
1997年11月3日生まれ。東京都出身。『DIVE!!』(2008)や『鈴木先生』(2013)などで俳優活動をする一方、ダンスロックバンドDISH//のリーダーにして、ボーカル&ギターを務め、ライブも精力的に行なっている。ドラマ『仰げば尊し』(2016)、映画『あやしい彼女』(2016)、『ディストラクション・ベイビーズ』(2016)、『君の膵臓をたべたい』(2017)などに出演。公開待機作に『勝手にふるえてろ』『OVER DRIVE』がある。
佐藤寛太
1996年6月16日生まれ。福岡県出身。2015年より劇団EXILEのメンバーとして活動し、舞台やドラマに出演。『HiGH&LOW』シリーズでは山王連合会のテッツ役を、『イタズラなKiss THE MOVIE』シリーズでは主人公の入江直樹を演じている。その他の出演作にドラマ『脳にスマホが埋められた!』など。
映画『恋と嘘』
原作から設定を借りたアナザーストーリーということで、森川葵、北村匠海、佐藤寛太の3人が原作に縛られることなく、若くみずみずしい感性を発揮させて好演しているのがいい。特に優しくソフトな司馬を演じた北村、一見、とっつきにくい高千穂に扮した佐藤と、“タイプの異なるイケメン”という役割をきっちり演じ、ヒロイン森川との異なる胸キュンストーリーを体現する。また、ラブストーリーとしてだけではなく、それぞれの成長物語としても見応えあり。人が誰かと出会って変わっていくこと、他人を信じて心を開くこと、自分の意志で動くことの大切さなどが描かれており、近未来が舞台といえども、普遍的な内容に共感できるはずだ。
原作:「恋と嘘」ムサヲ/講談社
出演:森川葵 北村匠海 佐藤寛太
監督:古澤健
脚本:吉田恵里香
主題歌:阪本奨悟「HELLO」(A-Sketch)
配給:ショウゲート
2017年10月14日(土)全国ロードショー
(C)2017「恋と嘘」製作委員会 (C)ムサヲ/講談社
公式サイト:koiuso.jp
「恋と嘘」ムサヲ/講談社
ムサヲによるコミックで2014年8月よりマンガボックス(DeNA)で連載中。単行本は講談社より発行されている。超・少子化対策基本法により、満16歳以上の男女は自由恋愛が禁止され、政府が遺伝子情報に基づいて選ぶ最良のパートナーと結婚することが決められている近未来。高校生の少年ネジは、初恋相手で両想いの美咲と政府から通知された結婚相手・莉々奈の間で揺れ動く。
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<映画ノベライズ>
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「アナグラアメリ」佐藤ざくり/マーガレットコミックス
映画を観るのが生きがいで、恋愛なんて興味なし、“おひとり様”でも大丈夫という森川あめり。クラスでは浮いた存在だけど、友達もいてそれなりに楽しい日々を送っていた。しかし学校一のモテ男で幼なじみの帝斗が自分のことを本気で好きだと知り、かつて帝斗に振られたと思い込んでいたあめりは、ある行動に出ることを決意する。
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「火花」又吉直樹/文春文庫
お笑いコンビ、ピースの又吉直樹の長編処女作にして芥川賞受賞作。これまでに林遣都&波岡一喜主演でドラマ化、菅田将暉&桐谷健太主演で映画化されている。売れない芸人の徳永は、熱海の花火大会で先輩芸人である神谷と電撃的に出会い、弟子入りを申し出る。天才肌でありながら人間味豊かな神谷は、自分についての伝記を書くという条件を出して、徳永の弟子入りを許す。
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「虐殺器官」伊藤計劃/ハヤカワ文庫JA
先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロ事件とテロリストを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加している時代。アメリカ軍大尉クラヴィス・シェパードは、後進国で虐殺を扇動していると思われる謎の男ジョン・ポール暗殺を任命され、チェコに潜入する。果たしてジョンの目的とは、大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは――。今は亡き伊藤計劃が2007年に発表した緻密なSF小説で、「ベストSF2007」国内篇第1位、「ゼロ年代SFベスト」国内篇第1位に選出された。
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