Jun 13, 2019 interview

湯浅政明監督が作品に込める裏テーマとは?『きみと、波にのれたら』制作秘話を語る

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主題歌をデュエットする名シーンの裏側

──湯浅監督が作画・演出で参加した『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』(92年)、『夜は短し歩けよ乙女』のミュージカルシーン、『夜明け告げるルーのうた』のダンスシーン……。湯浅作品は音楽とアニメーションとの調和が見せ場となっています。本作の主題歌「Brand New Story」は劇中で繰り返され、またドライブ中などの港とひな子がデュエットするシーンは、知り合った港とひな子が恋に落ち関係を深めていく過程を凝縮して描いた名シーンに。

一応僕と脚本の吉田さんとで「こんな歌詞になるといいよね」と書いたものを音楽サイドに伝えて、主題歌「Brand New Story」は作ってもらいました。出来たものは映画の内容をかみ砕いてもらった、浜辺で普通に流れていてもおかしくないヒットソングというイメージになりました。アフレコでは港役の片寄涼太さん、ひな子役の川栄李奈さん、別々に録音する予定だったんですが、片寄さんに「二人でじゃれ合っているような雰囲気で歌ってほしい」とオーダーしたところ、「どうせなら、二人一緒に歌ったほうがいいんじゃないですか」と片寄さんの提案があったので、「あぁ、それはありだな」と思い、やってみましょうということになったんです。片寄さんがうまくリードしてくれて、いい感じでレコーディングできましたね。ほぼ一発録りでした。情感溢れるシーンになったと思います。

──監督デビュー作『マインド・ゲーム』(04年)をはじめ、湯浅作品は目に見えない大きな力に主人公が懸命に抗う姿が印象的です。本作でもひな子は大変な試練に立ち向かうことになります。主人公が“懸命に立ち向かう”ことが湯浅作品の裏テーマといっていいんでしょうか?

そうですね。目に見えない大きな力というか、どうにもならないようなことって誰の身にも必ず起きますよね。そんなとき、本人はその事態にどう向き合うのか。本人の気持ち次第じゃないかと僕は思うんです。『マインド・ゲーム』もそうでしたが、どうにもならないような状況の中で大きな力に負けないでいることが出来れば、それは自分にとって爆発的な大きい変化だと思います。今回のクライマックスでも、ひな子にとって大火災を消してしまうほどの大きな気持ちの変化が起きたんじゃないでしょうか。そんなことを考えながら、描いているんです。毎回のようにやりすぎると、観てる人が付いてこれなくなると思うので、ちょこちょこと気持ちを出す程度にいつもは抑えています(笑)。

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