Jul 30, 2022 interview

【玉木宏インタビュー】吹替で感じた声だけで役を体現する難しさ『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』

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俳優とは違う声の当て方

―― 吹替を担当することで、この夏の話題作をいち早くご覧になったわけですね。

そうですね。まだ誰も知らない中で、先に観られたのは特権でした。台本をいただいたのがギリギリだったので、台本を見ながら鑑賞しました。映像にはタイムコードが打ってあるので、このタイミングでセリフを言っているのかな、と思いつつ、先に進めては戻しの繰り返しで、アフレコの予習をしながら拝見しました。

―― アフレコは掛け合いですか?

いや、1人で録っています。この作品だけではなく、僕が参加したアニメ、ゲームも1人でやっていて、ほかのみなさんと一緒にやることはなかったです。

―― 1人で録るのは難しそうですね。

誰の声も入っていない状態から始めることが多いのですが、どういう掛け合いになるのか、想像できないので、1人で原音に当てていく作業は難しいです。自分が演じた作品のアフレコでも、難しいなと思うぐらいなので、全く別の方に声を当てていくのは特別な作業です。声だけでその人を体現し、臨場感を出せるようにイメージを持って臨むようにしています。

――とても素敵な声を持っていますが、声優の仕事は以前から、興味があったんですか?

日本はオールジャンルで活躍する人たちが多いので、経験はすべきだと思っていました。やればやるほど、自分の中でクリアになって、自分の身になっていくと思っています。

―― 『タイム・ライン』(ポール・ウォーカー役)、アニメ『マダガスカル』と洋画の吹替が多いですね。

アフレコの機会が少ないので、何度やっても慣れないです。アニメの方が当てやすく、実写は難しいですね。本作はCGが多いですが、声は実像に当てていかないといけないですから。今回は前作(『ジュラシック・ワールド/炎の王国』2018年)から時間もたっているし、俳優として体を使って演じるのとは違って、テクニック的な難しさがあります。俳優ですから、どうしても動きたくなってしまうのですが、マイクから動いてしまうと、音がうまく録れなくなってしまう。音を当てにいかなければいけない。だから、声優さんは、俳優とは違うお仕事なんだなと思います。