Jan 24, 2025 interview

松重豊 監督が語る 映画だからこそ伝えたいことがある。12年続く人気ドラマシリーズの映画化『劇映画 孤独のグルメ』

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責任を取るという覚悟からの初監督

池ノ辺 この映画は主演だけでなく監督・脚本も担当されているんですよね。

松重 映画にするのであれば、大鉈を振るう人がトップに立たなければいけないです。それで以前一度仕事をご一緒したことのあるポン・ジュノさんに監督をお願いするのはどうだろうかと。韓国でもとても人気のある監督ですから、その監督が「孤独のグルメ」を映画化というのは面白いと思ったんですね。それでテレ東さんに「その覚悟はありますか」と確認して、私から手紙を出すことになりました。でも残念ながらスケジュールが合わなかった。それで日本の映画監督さんの候補も何人か考えてみたんです。でも、日本のテレビドラマの業界、日本の映画のシステム、その両方を知っている僕としては、あまりいいコラボレーションにはならないような気がしたんです。そうやって考えていくうちに、そもそも大鉈を振るわなければならない時に、そのジャッジを一番ずっと現場にいた僕が担って、公開の日を迎えるまでその全責任を負うということでやれば、できるんじゃないかと思ったんです。ですから監督として演出云々ということよりも、僕がジャッジをして、その責任を取って、このコンテンツを映画として成立させるために守り抜こう、そういう覚悟で臨みました。

池ノ辺 実際にやってみていかがでしたか。

松重 これに携わっていた2年半はほとんど他の仕事はしていないです。これに集中していました。東宝さん、それに韓国の配給会社にも話を通して、できる限りのことはやったので、悔いはないし思い残すこともないですね。

池ノ辺 そんなご苦労の上で、無事に初日が迎えられて良かったです。

松重 そうですね。とりあえず初日を迎え、ここまで辿り着いたのでほっとしています。

池ノ辺 「責任を取る」というエネルギーは、大きなパワーを生みますよね。

松重 そうかもしれないですね。体調面でも風邪もひかなかったしウイルスも弾いている感じでした(笑)。映画を成功に導くには強いリーダーシップを取れるような個性が必要なんだと思いましたね。