May 16, 2024 interview

ウェス・ボール監督が語る CGとリアルの融合が創り出す超リアルな世界『猿の惑星/キングダム』

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映画は、起きながらにしてみる2時間の夢

池ノ辺 それでは、最後にお聞きしたいのですが監督にとって映画って何ですか。

ボール 「夢」でしょうか。映画にはまず、音や音楽があります。普通なら気が散るような、うるさいと感じるようなものかもしれないのに、それが、観る人にとっては、“映画の体験” になります。そして目から入ってくるのはカメラで撮られた映像です。今回のこの映画でいえば、CGという人工的なものとリアルを組み合わせた映像です。これらを約2時間にわたり浴び続け、まるで本当に体験しているかのような感覚で没入して、そこに共感したり感動したりする。実際にはもちろん起きているんだけれども、まるで夢を見ているような、つまり僕たちが夢の中で受けるような感覚で体験する、それが映画じゃないかと思います。

池ノ辺 その夢の中で、それを観ることで感動したり元気になったりしますよね。

ボール それは作品の質にもよるかもしれませんね。素晴らしい作品ならそうだと思いますけど、中には悪夢として機能するものもあるんじゃないかと(笑)。

池ノ辺 私はこの作品を観て元気になったし、何より愛を感じましたよ。

ボール そういうことを考えながら作った作品なので、そこを受け止めてくださってとてもうれしいです。

インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 佐々木尚絵
撮影 / 岡本英理

ウェス・ボール(Wes Ball)

監督

1980年、米・フロリダ出身。フロリダ州立大学映画芸術大学で学んだ後、グラフィックデザイナー、VFXアーティストとして活動。2011年に約9分の短編CGアニメーション『Ruin』を監督。2014年にジェームズ・ダシュナーの同名小説を映画化した『メイズ・ランナー』の監督に抜擢され、全世界で大ヒットを記録。続く『メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮』(2015)と『メイズ・ランナー3:最期の迷宮』(2018)でも監督を手がけた。本作の完成後には、日本初の人気ゲームの映画化『ゼルダの伝説』の脚本・監督、短編『Ruin』の長編映画化プロジェクトなどが控えている。

作品情報
映画『猿の惑星/キングダム』

人間と猿、地球の支配者の劇的な交代劇が起こってから何年も後の世界。高い知能と言語を得た多くの猿は文明的なコミュニティを築き、人間社会のような進化を遂げた。一方で人類は言語、文化、技術、社会性を失い、野生生物のような存在となっていた‥‥。

監督:ウェス・ボール

出演:オーウェン・ティーグ、フレイヤ・アーラン

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

©2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

公開中

公式サイト 20thcenturystudios.jp/movies/kingdom-apes

池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、『ボディーガード』『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』『マディソン郡の橋』『トップガン』『羊たちの沈黙』『博士と彼女のセオリー』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ノマドランド』『ザ・メニュー』『哀れなるものたち』ほか1100本以上。
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 WOWOWプラス審議委員、 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
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