これは一つの成長の物語
池ノ辺 正直に言うと、これまでの『猿の惑星』シリーズでは、登場する猿たちの顔の違いがなかなかわかりづらくて、みんな同じように見えてたんです。それが、今回の作品では、各々のキャラクターが個性的ではっきりと違いがわかりました。
ボール それは、この映画を作るにあたり、すごく気を遣ったところです。かなり時間をかけて、それぞれのキャラクターが区別できるように作っていきました。
池ノ辺 それで今回は何が違うのかなと、自分なりにもいろいろ考えてみたんですけど、一つは表情がとても豊かなこと。まなざしとかね。そして、ハートが感じられたんです。
ボール とてもうれしい感想です。この作品はもちろんエイプ(類人猿)たちが登場する物語ではあるんですが、同時に人間の物語です。観ている僕たちは、彼らの中に感情移入したり、彼らの中に自分自身を見るわけですから。
池ノ辺 そうなんです。だから心を動かされ、泣きそうになったりもしました。
ボール 池ノ辺さんにとっては、どの辺りが心を動かされるポイントだったんですか。
池ノ辺 たくさんあったんですが、特に、主人公のノアが成長していく過程に感動しました。彼の両親も、やはり人間と同じように我が子を愛し力を与え、息子もそれに応えるようにたくましくなっていく。顔つきも変わって行動も変わっていく。その成長がはっきり見えて、驚きましたし、ジーンときました。
ボール あれはまさに、人が大人になる、成長の過程ですよね。最初の場面であった彼の純真無垢な部分は、最後には失われている。最後の彼の目は、いろんなものを見てきた、そんな目をしている。
池ノ辺 そうなんです。