May 16, 2024 interview

ウェス・ボール監督が語る CGとリアルの融合が創り出す超リアルな世界『猿の惑星/キングダム』

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これは一つの成長の物語

池ノ辺 正直に言うと、これまでの『猿の惑星』シリーズでは、登場する猿たちの顔の違いがなかなかわかりづらくて、みんな同じように見えてたんです。それが、今回の作品では、各々のキャラクターが個性的ではっきりと違いがわかりました。

ボール それは、この映画を作るにあたり、すごく気を遣ったところです。かなり時間をかけて、それぞれのキャラクターが区別できるように作っていきました。

池ノ辺 それで今回は何が違うのかなと、自分なりにもいろいろ考えてみたんですけど、一つは表情がとても豊かなこと。まなざしとかね。そして、ハートが感じられたんです。

ボール とてもうれしい感想です。この作品はもちろんエイプ(類人猿)たちが登場する物語ではあるんですが、同時に人間の物語です。観ている僕たちは、彼らの中に感情移入したり、彼らの中に自分自身を見るわけですから。

池ノ辺 そうなんです。だから心を動かされ、泣きそうになったりもしました。

ボール 池ノ辺さんにとっては、どの辺りが心を動かされるポイントだったんですか。

池ノ辺 たくさんあったんですが、特に、主人公のノアが成長していく過程に感動しました。彼の両親も、やはり人間と同じように我が子を愛し力を与え、息子もそれに応えるようにたくましくなっていく。顔つきも変わって行動も変わっていく。その成長がはっきり見えて、驚きましたし、ジーンときました。

ボール あれはまさに、人が大人になる、成長の過程ですよね。最初の場面であった彼の純真無垢な部分は、最後には失われている。最後の彼の目は、いろんなものを見てきた、そんな目をしている。

池ノ辺 そうなんです。