ちょっと大人になったしんちゃんを、大人にも観てほしい
池ノ辺 今回の作品を拝見して、とっても感動しました。
吉田 感動作を目指して作ったというわけではないんです。キャラクターたちが、それぞれ必要な行動をとった、その結果です。もちろんグッとくるシーンはそうしようとは思いましたけど。
池ノ辺 ちょっと大人になったしんちゃんだなと思ったんですが、その辺は意識したんですか。
吉田 そういうところがあってもいいんじゃない? という話はありましたね。しんちゃんは子供らしい正義感というのはいつも持ち合わせているので、それがどのくらい発動するかということだと思います。
池ノ辺 弊社で予告編を作らせてもらったんですが、その時のリクエストがいつもとはちょっと違った感じがしたんですが、それは3DCG作品ということと監督を意識していたからですか。
吉田 そうですね。まず、大根さんを監督に迎えたということで、映画が好きな人にも興味を持ってもらえるだろうなというのがありました。それは脚本ができる前から思っていたことです。また、社会的な問題にもちょっと踏み込んだような描写もありましたから、大人にも観てほしいなと。
90年代に流行った頃のなんとなくのイメージだけで、下品とかくだらないとか思い込んで観ない人たちがいるとしたら、その人たちに、それだけじゃないと伝えたいし観てもらえるきっかけになる作品にしたいという思いはありました。さらに、せっかく3DCGという新しいことにチャレンジする企画なので、もうしんちゃんを卒業したよ、離れちゃったという人たちにもぜひ観てほしいと思っています。
池ノ辺 あのしんちゃんが、こんなに成長してすごいことを言って感動させてくれる。「すごいな、しんちゃん!」と思いました。30年間しんちゃんを大切にしてこられたんだと、改めて感じさせられました。
吉田 30年経っていますからね。5歳とか10歳で見始めたら、みんないい歳ですよ(笑)。
池ノ辺 今回少し大人になったしんちゃんを観て、いかがでしたか。
吉田 「お前、頑張ったじゃないか」というセリフを私も言いたくなりましたね。
池ノ辺 家族みんなが頑張っていましたね。
吉田 それでもあんまり肩に力が入りすぎていなくて、そこが野原家らしくていいなと思っています。頑張ってたけど、どこか抜けているという(笑)。
池ノ辺 そう、そこがまた好きなところです。映画が公開されたあと、しんちゃんは元気していますかね(笑)、今は何してますかね ?
吉田 元気です(笑)。うちでぐだぐだしているんじゃないですか。
馬渕 いや、公園にみんなで集まって何かやってそうな気がします (笑) 。
池ノ辺 元気だったら何よりですよね(笑) 。では、最後の質問になります。お2人にとって映画って何ですか。
馬渕 僕は長野県の松本で育ったんですが、中学生の頃かな、『バタリアン』と『コマンドー』の2本立てが上映されていて、それを何十回も観たんです。
池ノ辺 そこから映像の仕事をやろうと思ったんですか。
馬渕 ダイレクトにつながったわけではないですが、そっちの世界が面白そうだとは思いましたね。『バタリアン』と『コマンドー』が青春です(笑)。
池ノ辺 吉田さんはどうですか。
吉田 私にとっては、映画は訳のわからないものです。正解がないというか、その時々によって違う。作っている側としては答えを知っている人でいたいんですけど、わからない。だからこそ面白いんだとは思うんですが、知りたいです。
池ノ辺 今の世の中、作ることも伝えることもどんどん違っていくのかもしれません。でも永遠のしんちゃんでいてほしいです。
インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 佐々木尚絵
撮影 / 藤本礼奈
シンエイ動画プロデューサー
シンエイ動画プロデューサー
ノストラダムスの隣町に住むヌスットラダマスはある予言を残していた。「20と23が並ぶ年に天から二つの光が降るであろう。一つは暗黒の光、もう一つは小さな白い光‥‥やがて暗黒の光は強大な力を持ち、平和をごっつ乱し、世界にめっちゃ混乱を招くことになるんやでえ。」そして 2023 年、宇宙から光を放つ二つの光が接近。夕飯を待ちわびるしんのすけに白い光が命中する。体にみなぎる不思議なパワー。「お尻が…お尻がアツいゾ…」エスパーしんのすけ誕生の瞬間である。一方、黒い光を浴び、暗黒のエスパーとなった男はの名は非理谷 充(ひりやみつる)。バイトは上手くいかず、推しのアイドルは結婚、さらには暴行犯に間違われ警察に追われていた彼は、力を手に入れたことでこの世界への復讐を誓う。世界の破滅を望む非理谷 VS しんのすけ。”すべてが、しん次元”なちょー超能力大決戦が今、幕を開ける!