Aug 19, 2023 interview

プロデューサー・吉田有希 / 馬渕吉喜が語る 新しいチャレンジのしんちゃんを大人にも観てほしい『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜』

A A
SHARE

東京現像所の思い出

池ノ辺 今作の特報や予告編の初号は、東京現像所で行ったと聞きました。

吉田 そうです。しんちゃんはフィルム時代からずっと東京現像所でお世話になっています。今年の秋で営業停止になると聞いて、長年お世話になったので最後まで東京現像所でやろうとなったんです。

池ノ辺 今もテレビ番組は東京現像所さんで作業をしているんですよね。

馬渕 はい、そうです。個人的な感想ですが、昔と比べて少しずつ人が少なくなって、特に現像やフィルム関係は人の気配がないという雰囲気でした。そう言えば、東京現像所は昔、敷地内に社員食堂があって、行った時にはいつもご馳走になっていたんです。それが、人が少なくなったからなのか、ある時突然、食堂がなくなってしまって‥‥結構ショックでした。近くに食べるところもあまりなくてコンビニもちょっと離れていましたからね。

池ノ辺 食堂ありましたね。 一つのものを作るのにその過程でたくさんの人が関わってやり取りしながら作り上げるといった機会もだんだん減っている気がしますね。

吉田 自分は2011年の東日本大震災の年のことが印象に残っています。しんちゃんの映画が4月公開の予定で進んでいて、地震のあった3月半ばは先が見えない状態でした。東京現像所エリアは計画停電が実施されるということでフィルムレコーディングができるかわからない。そこで東京現像所の方が毎日のように現場にきてくれて、ここで停電になったらここで、ここまでに映像が入ればここでなんとかできますとスケジュールを詰めていったんです。計画停電も、当時は確実に行われるというものでもなくて、どうなるかわからないという綱渡りの中で、密に相談しながら何とか完成させ、公開を迎えることが出来ました。