野原しんのすけ。5歳。超マイペースで周りの人を振りまわす、嵐を呼ぶ幼稚園児。それがしんちゃんだ。2023年、宇宙から二つの光が接近。埼玉県カスカベ市の家で夕飯を待ちわびるしんのすけにそのうちの一つ、白い光が命中する。エスパーしんのすけの誕生である。一方の黒い光は何もかもがうまくいかない青年非理谷充(ひりやみつる)に命中。力を手に入れたことで、彼はこの世界への復讐を誓う。 世界の破滅を望む非理谷としんのすけの、“すべてが、しん次元”なちょー超能力大決戦が、幕を開ける。
制作期間7年の時を経て、笑いも、感動も、家族愛も、何もかもが超スペクタクルな“しんちゃん”が誕生。そしてシリーズ初の3DCG化が実現した。アニメーションを担当するのは『シン・ゴジラ』や『STAND BY ME ドラえもん』を手がけてきたCGプロフェッショナル集団の白組。さらに、『モテキ』(2011)、『バクマン。』(2015)の大根仁が『クレヨンしんちゃん』で初のアニメーション監督を務めた。
予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』、今回は、『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜』でアニメーション制作を手掛けるシンエイ動画のプロデューサー、吉田有希と馬渕吉喜の両氏に、本作の見どころ、制作時のエピソード、シリーズへの想いなどを伺いました。
クレヨンしんちゃんの初めてのプリプリ3DCG
池ノ辺 今回は初めての3DCGでした。全然違和感がなかったですね。今までに出てきたいろんなキャラクター、小物が散りばめられていて、それが3DCGになって浮いたりとか、飛んできたりと凄いなと思いました。
吉田 ドラえもんの3DCGを作った流れで、「しんちゃんはやらないの?」「しんちゃんの3DCG見たいです!」という声がちらほら届いていました。うちの梅澤(シンエイ動画社長)と白組の島村さん(会長)は「しんちゃんは無理だよね」「あの2Dの平面的なデザインがいいんだよね」とは言っていたんですが、「だけど、それができたらすごいよね」ということでちょっと前から盛り上がっていたんです。そういう流れもあって、じゃあやってみましょうかとなりました。
池ノ辺 最初に3DCGになったのを見てどうでしたか。
馬渕 僕は本当の最初の3DCGモデルは見ていないなくて、パイロット版で見たのが初見です。その時は、ああ、これは結構良いんじゃない? と思いました。
池ノ辺 立体になると、お尻やほっぺがより丸々した感じにも見えたんですが、その辺りの感じはどうやって決めたんですか。
吉田 見る前にイメージされていたより、モリモリしてましたか?
池ノ辺 モリモリが気になるというより、ほっぺやお尻がプリプリで、「可愛い! 触りたい!」という感じでした(笑)。
馬渕 ほっぺたはよくできてたなと‥‥。
吉田 最初は、特にお尻がプリプリしすぎて、ちょっと出せない感じだったんです(笑)。
馬渕 最終的には結構抑えたんじゃないかな。モデルで何パターンか出てきたので、その中でも過剰にならないようなものを選んで。後は、参考にした2Dのアニメ絵にばらつきがあって、ものによってはひろしが短足だったりしたので、体型の基準をどうするかというので白組さんは結構大変だったと思います。
吉田 特に監督が決まる前は、方向性が定まっていませんでしたから、どうしようかという時期が長かったんです。