Mar 17, 2023 interview

堀切園健太郎監督が語る 役者たちの熱い演技が、ドラマをいっそう深くする「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」

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海外で亡くなった方の遺体と想いを、愛する遺族の元へ必ず送り届ける‥‥。国境を越えて活躍する国際霊柩送還士を描く、1話完結のヒューマンドラマ。本作の舞台は、羽田空港にある小さな会社。国際霊柩送還士とは、海外で亡くなった方のご遺体をできる限り生前に近い姿に戻し、遺族の元へ送り届けるスペシャリスト。本作は、突然、大切な人を失ってしまった遺族に最期のお別れをする機会を設け、前を向いて今後の人生を歩んでもらえるように奮闘する彼らの物語である。

主演に米倉涼子を迎え、松本穂香、城田優、遠藤憲一らが脇を固める。原作は佐々涼子の「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」。「コンフィデンスマンJP」シリーズや、NHK大河ドラマ「どうする家康」の脚本でも注目されている古沢良太と、「ドクターX ~外科医・大門未知子~」シリーズや「緊急取調室」シリーズなどを手掛ける香坂隆史が、ドラマオリジナルのエピソードを脚本化、NHKで数々のドラマを手掛けてきた堀切園健太郎が監督を務める。

予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』、今回は、ドラマ「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」の堀切園健太郎監督に、本作の見どころ、撮影時のエピソード、ドラマへの想いなどを伺いました。

現場の過酷さ、死の真面目さ、エンタメとしての面白さを欲張って全部入れた

池ノ辺 堀切園監督は、NHKのドラマを主に手掛けてこられましたが、今回のドラマ「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」は、どういった経緯で監督をされることになったんですか。

堀切園 このドラマの原作本を、ぜひ紹介したいという企画プロデューサーがAmazonさんと話をして、この企画をやりましょうとなったんです。それで演出として僕に声をかけてくださって、いろいろ話をして決まったというところです。

池ノ辺 話を受けるときに原作を読まれていかがでしたか。

堀切園 こういう仕事が世の中にはあるのかと、それにまず驚きました。

池ノ辺 海外で亡くなった方を日本に連れて帰ってくるという、すごいお仕事ですよね。私も初めて知りました。

堀切園 でも、なくてはならない仕事ですよね。実は最初にお話しをいただいたのは4年前だったんですが、この原作本を読んだ2ヶ月後に母親が突然亡くなったんです。身内の突然の死に対しての気持ちの構え方、葬式までの1週間をどう過ごしたか、また、母は小さな工場をやっていたんですがそれを畳むにあたっても、母親のことをいろいろ考えたりしました。

もし、この本を読んでいなかったら、たぶん全然違う日々の過ごし方をしただろうと思ったんです。亡くなった人に対して、あるいは死というものに対して、自分がどう向き合うのか、それがいかに大切なのかということを、身をもって感じた経験でした。

池ノ辺 この本のモデルになった実在の会社があるんですよね。実際に行かれたんですか?

堀切園 もちろんです。

池ノ辺 本当にああいう感じなんですか。

堀切園 ああいう感じです(笑)。

池ノ辺 あれはドラマの脚色じゃなかったんですね(笑)。

堀切園 会社に伺ったら、すごく強烈なみなさんで、今回脚本を担当している古沢良太さんも、これなら面白いものができると俄然スイッチが入っていました。人の死を扱うものですから、これをそのまま真面目に取り上げるというのは、一つの作り方としてはあると思うんですが、そういう重い話をそのまま出して、どれだけの人が見てくれるのかと思いますし、ドラマとしても豊かにならないと思ったんです。

池ノ辺 もっと暗いドラマなのかと思ってましたけど、それだけじゃなかったですよね。

堀切園 たとえばご遺体に対しても「おじいちゃん、大変だったねえ」とか、本当に生きている人に話しかけるようにしているんです。それは遺体を“もの”ではなく人として扱っているということですよね。そういう現場の過酷さと、真面目に死を扱うということと、国際霊柩送還士として働く皆さんの強烈なキャラクターのエンターテインメントとしての面白さ。伊丹十三監督の『お葬式』じゃないですが、そのギャップの振り幅が大きいほど面白く豊かに表現できると思うんです。ただ、脚本にまとめるのも演じる方も大変だったとは思います。

池ノ辺 「楽しく」というのとは違うんですが、いいドラマを見たと思わせてくれて、私は各回泣いていました。