笑いの底にある真面目な芝居
池ノ辺 友近さんが演じる康子は、これまでの2作では、最初と最後だけと、それほど出番が多い感じではなかったのですが、今回はかなり出番も多く重要な役回りでしたね。しかも旦那とのラブシーンもあったりして。
友近 いや、楽しかったですね(笑)。今回は胡散臭い人がたくさん出てきて、私もその胡散臭さの要素の一端を担うという役どころでしたから、演技もめちゃくちゃやりがいがありました。
いろいろあっても、結局、蔵之介さん演じる旦那の佐輔と康子はお互いに愛し合っていて、そこの信頼関係は絶対に崩れない。そこがあの映画では大きな安心感になるんですよね。その表現が、この映画ではR指定の表現になって(笑)。嘘です! !
池ノ辺 康子さんは旦那さんに愛されてるんだなというのがわかって、すごくいい役どころ。素敵なシーンでした。現場で、これは大変だったというようなエピソードは何かありますか。
友近 私ではないんですけど、例えば貴一さんの場合だと、歴史や文化を知らないと頭に入ってこないだろうなというようなセリフが何ページにもわたってあるとか、主役の人は大変だなと思いました。あと、これは最初の作品からなんですけど、陶芸家役の人は、実際にそのシーンがありますから、そのために陶芸を習って訓練してということもされているようです。尊敬です。
池ノ辺 お笑いの部分だけじゃなく、そこに行くまでにはちゃんと役者としてやるべきことをやっているということですね。
友近 根底にはしっかりした真面目な芝居があるんです。そこをきちんとしないと笑いにもならないですから。
池ノ辺 監督は1作目から同じ武正晴監督ですね。
友近 私がいうのはおこがましいんですが、監督とは最初から相性がいいんです。細かなディティールにこだわるとか人間観察が好きとか、そういう方なので、喋っていても共感できる部分が多い。ですから指示されることもスッと入ってきてやりやすいです。
池ノ辺 監督からは、こう言うふうに演じてほしいという話はあるんですか。
友近 そうですね。一度やってみて、ここはもうちょっとこういうふうにやってみようか、というような形でアドバイスを下さることが多いですね。