映像の美学があれば、映画でも配信ドラマでも
池ノ辺 最後の質問になります。今や映画に、配信ドラマにと活躍されている監督ですが、監督にとって映画ってなんですか。
佐藤 僕は映像の美学というのが映画の骨子になるなと思っています。だから映画愛とよく言いますけど、何を愛しているのか、一つあげるとすれば、僕は美学的なものをすごく愛しているということです。それがあれば、映画館で上映する映画でも配信のドラマでも、僕にとっては同じ。スクリーンのスケールや作品の長さ、音のシステムが変わるだけです。
ですから、骨格として美学的なものがあれば、自分はどちらにも愛情を注げるし、それがあるから自分のスタンスは変わらずにどちらも作っていられるのだと思います。
池ノ辺 確かに監督は予告も含めて、アート的なところにこだわりがありますよね。
佐藤 そうかもしれません。本編映像ばかりでなく、文字とかタイトルバックとかまでにもそういうものを求めます。もちろんそれぞれのエキスパートの人たちと一緒に作るんですけど、誰と一緒にやりたい、誰を使いたいとか、出てきたものに対してこうしたいとか、自分としてはやはりこだわりたいし、嬉しいことに、僕の周りにはそういうところにこだわりを貫いている人たちが集まってきてくれています。そういう人たちと仕事をするのは本当に楽しいです。
インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 佐々木尚絵
写真 / 岡本英理
監督・脚本
1970年生まれ。広島県出身。大学在学中に脚本・監督を務めた短編映画『寮内厳粛』(94)が、ぴあフィルムフェスティバルでグランプリを受賞。行定勲監督作品などの脚本を務めた後、『LOVE SONG』(01)で長編監督デビュー。『GANTZ』シリーズ(10、11)や『図書館戦争』シリーズ(13、15)などの実写アクション大作で高く評価され、『アイアムアヒーロー』(15)で世界三大ファンタスティック映画祭にてグランプリを含め、5冠を制覇。『いぬやしき』(18)ではブリュッセル国際ファンタスティック映画祭にてグランプリを受賞。同年、日本で劇場公開された『BLEACH』(18)が、海外ではNetflixオリジナルとして190カ国に独占配信されている。2019年公開の『キングダム』に続き、2022年公開の『キングダム2 遥かなる大地』が大ヒット。シリーズ累計興行収入100億円を突破した。
元の世界に帰るために“今際の国”の謎を追いかけるアリスとウサギ。二人は謎を解き明かす鍵と思われる場所で仲間と敵、そして“げぇむ”を操るゲームマスターと出会う。“げぇむ”に勝利する度に手に入るトランプの数字のカードをすべて集めたアリスたち。残るはジャック、クイーン、キングの絵札のカードのみ。前作を上回る難易度とスケールの“げぇむ”に挑むアリスたち。果たしてすべてのカードが揃った時、彼らは元の世界に戻ることができるのか‥‥。
監督:佐藤信介
原作:麻生羽呂「今際の国のアリス」(小学館「少年サンデーコミックス」刊)
出演:山﨑賢人、土屋太鳳、村上虹郎、三吉彩花、桜田通、朝比奈彩、恒松祐里、渡辺佑太朗、森永悠希、町田啓太、磯村勇斗、井之脇海、毎熊克哉、さとうほなみ、山本千尋、金子ノブアキ、阿部力、青柳翔、仲里依紗、山下智久
© 麻生羽呂・小学館/ROBOT
独占配信中