突然放り出された異世界で、プレイヤーたちが命を懸けた理不尽な“げぇむ”に挑む「今際の国のアリス」。Netflixシリーズとして制作され、全世界で圧倒的な人気を博した実写ドラマのシーズン2が、いよいよ世界独占配信スタート。
元の世界に帰るため、“今際の国”の謎を追いかけるアリス(山﨑賢人)とウサギ(土屋太鳳)は、その先で仲間と敵、さらに“げぇむ”を操るゲームマスターと出会う。果たして彼らは元の世界に戻ることができるのか‥‥!?本作もシーズン1と同じく佐藤信介が監督及び脚本を担当する。
予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』。今回は、「今際の国のアリス」シーズン2の佐藤信介監督に、本作品の魅力、配信ドラマの面白さ、映画、映像への思いなどを伺いました。
配信ドラマの撮影は、全体のつながりを見失わずに進める持久走
池ノ辺 今回Netflixで配信される「今際の国のアリス」シーズン2、拝見しました。おもしろくて一気に観てしまいました。撮影は、シーズン1から続けて一緒にされたんですか。
佐藤 いえ、一緒に撮ったわけではなくて、シーズン1を撮ってから1年以上は経っています。もちろん、シーズン1の撮影の時に、シーズン2もできたらいいね、と思っていて、2にとっておこうというアイデアも持っていましたけど、シナリオもまだ書いていなくて、実際に2が正式に決まったのは1の配信が始まった頃です。
池ノ辺 じゃあ、シーズン1の評判が良かったので次も行こうとなったんですね。
佐藤 そうです。シーズン1が興行的にも手応えがあって、具体的に2を撮りましょうとなったのですが、僕は映画の『キングダム2 遥かなる大地へ』の撮影がありましたから、それが終わってから「今際の国のアリス」シーズン2の準備をして撮影に入りました。
池ノ辺 『キングダム』は映画で、「今際の国のアリス」は配信ドラマですが、撮影の仕方や進め方には、どんな違いがありましたか?
佐藤 基本的な撮影の方法とか機材、スタッフに大きな違いはないです。自分のスタンスも、撮影するということに関して言えば変わりありません。ただ、配信ドラマの撮影期間は長いです。8話あるので、それだけで映画3本分くらいあります。映画だと2カ月くらいですが、配信ドラマの場合は5カ月くらいかかるんです。それに、登場人物がある出口から出ていって、その続きを撮るのが3カ月後ということもあり得るわけで、そこは全体のつながりをきちんと押さえておかないと、バラバラになってしまう。
配信のドラマでは、より複雑でたくさんのエレメンツの積み重ねがあるので全部有機的につながっている中での演出が求められるわけです。「今際の国のアリス」の場合は、自分が一人で監督をしていますから、大変ですけど、他の人とバランスをとりながらということはなくて、とにかく自分の中でつながってさえいればいいので、楽といえば楽でした。
池ノ辺 でも緊張感を長い間持続させていくのは大変じゃないですか?
佐藤 「今際の国のアリス」では、割とリラックスした気持ちで取り組むことができました。とにかく期間が長いから、精神的にも肉体的にも参ってしまわないように、コントロールしながらやるというのを、皆、意識していたと思います。最初の方で全力でガーっと走ってしまうと最後までもたない、持久走みたいなものです。