映画は生きる意味。これ以上の感動も達成感もない
池ノ辺 今回の予告編は監督が作ったんですよね。どうでした?
寒竹 逆にお聞きしたいです。どうでしたか。
池ノ辺 今、出ている予告編を拝見してですが、私たちが作る予告編とは違うというのをまず感じて、だから監督が作ったんだろうなと思ったんです。私たちは本編の作り手ではないので、宣伝側として、わかりやすく、時には面白そうに、ひとつのストーリーをつくって予告編を作ります。
でも『First Love 初恋』の予告編は、本編に愛情をもって関わった人が、ひとつひとつのカットを選んで散りばめてあるひとつの作品だと思いました。そういう意味で面白く拝見しました。
寒竹 今回予告編は、スーパーティーザー、ティーザー、本予告、TVスポット、さらに本編を使って宇多田ヒカルさんの「First Love」と「初恋」の特別映像も作っていて、これから順次出していきます。自分としては、それぞれに別の役割があると考えています。
スーパーティーザーに関しては、初めて世に出るものでしたから、セリフは一切なく歌だけにして、 おっしゃったように、 これと思う強い画をとにかく力技で見せていこうと思って作りました。次のティーザーは、ノスタルジーとか、これは同じ時代を生きてきた皆さん自身の物語なんですということを伝えたいとか、それぞれテーマがあって、本予告については割と王道で作っていると思います。
池ノ辺 では、最後の質問になりますが、監督にとっての映画とはなんですか。
寒竹 生きる意味でしょうか。それをやるために自分は今生きているし、これ以上の感動も達成感もない。かなり偏っているとは思いますが、目にするもの、感じることなどすべて、これを映画に反映したいなと思いながら、日々生きているというところです。
池ノ辺 それがこの作品で、ちゃんと形になったということですね。
寒竹 そうだといいなと思います。
インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 佐々木尚絵
写真 / 岡本英理
映画監督・脚本家
1982年、東京都生まれ。東京と山梨を拠点に活動。日本大学藝術学部映画学科在学中の2004年に、ラジオドラマ『ラッセ・ハルストレムがうまく言えない』(主演 池脇千鶴)で脚本家デビュー。2009年『天使の恋』(主演 佐々木希)で長編劇場用映画初監督。翌年、AKB48初のドキュメンタリー映画『DOCUMENTARYof AKB48 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?』を公開。MVやCM、TVドラマ等、活動は多岐にわたる。韓国ロケで撮影した映画『ケランハンパン』(主演 チュ・ソヨン、村上淳)でゆうばり国際ファンタスティック映画祭審査員特別賞受賞。
1999年に発表され大ヒットした宇多田ヒカルの珠玉の名曲「First Love」、その19年後に発表された「初恋」。この2つの楽曲にインスパイアされ、新しいストーリーを紡ぎ出す。90年代後半と、ゼロ年代、そして現在の3つの時代が交錯し、 20年余りに渡る忘れられない“初恋”の記憶をたどる一組の男女の物語。
監督・脚本:寒竹ゆり
原案・企画・製作:Netflix
出演:満島ひかり、佐藤健、八木莉可子、木戸大聖、夏帆、美波、中尾明慶、荒木飛羽、アオイヤマダ、濱田岳、向井理、井浦新、小泉今日子
Inspired by songs written and composed by Hikaru Utada / 宇多田ヒカル
Netflixにて全世界独占配信中