Aug 26, 2022 interview

松尾諭が語る 半分は運だけど、半分は必然の人生を描いた物語『拾われた男』

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俳優志望の若者・松尾諭が自販機の下に落ちていた航空券を拾うところから人生が変わる波乱万丈のサクセスストーリー『拾われた男』。個性派俳優として知られる〈俳優・松尾諭〉本人の実話をもとに、松尾自身によって書かれた同名エッセイをドラマ化した本作。NHK連続ドラマ小説『あまちゃん』、NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』の井上剛が監督を、映画『百円の恋』『喜劇・愛妻物語』の足立紳が脚本を務め、Disney+(ディスニープラス)「スター」にて見放題独占配信がスタートしている。

ありえないような偶然と、そこから始まる縁がつながり続けることで人生を切り拓いていく主人公・松戸諭を演じるのは、実力派若手俳優の仲野太賀。運命の女性として諭と出逢うヒロインに、今、最も注目を集める伊藤沙莉。そして諭の兄役には草なぎ剛。さらに薬師丸ひろ子、鈴木杏、要潤、松本穂香、岸井ゆきのら豪華キャストが集結。しかも、柄本明、井川遥など“本人役”で登場するキャストも多数にのぼり、どこまでが実話で、どこからが虚構なのか、視聴者を惑わせるドラマになっている。

予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表を務める池ノ辺直子が、映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』では、『拾われた男』の原作者であり、ドラマにも〈本人役〉として登場する松尾諭さんに、この奇妙な魅力にあふれた壮大なスケールの物語の〈虚と実〉、そして、〈松尾諭を松尾諭が演じる〉ことの難しさをうかがいました。

松尾諭が語る 半分は運だけど、半分は必然の人生を描いた物語『拾われた男』

俳優デビューのきっかけが、ドラマ化されるまで

池ノ辺 自分で書いた原作がドラマ化されて、NHK BSでの放送だけじゃなく、ディズニープラスでも配信されるなんて、すごいお話ですね。そのお話を聞かれたときは、どう思われましたか?

松尾 逆にどう思いました?

池ノ辺 びっくりしました。松尾さん本人を主人公に、すごい規模のドラマが出来るって聞いて、「何で?」って言っちゃいました(笑)。

松尾 よく言われるんですよ。「何で?」って(笑)。たしかに僕の書いた本が、こんなドラマになるなんて、「何で?」って話ですよね。どこでどういう風に映像化するとかということも含めて僕はお任せしていた話なので、後からこうなりましたと聞いて、「えっ!?」の連続。ここまでの規模のドラマになるとは思ってなかったです。

池ノ辺 どうして自分のことを書こうと思ったんですか?

松尾 最初は『文學界』に寄稿するという話で、連載になると思ってなかったんですよ。何を書いてもいいと言われたんですけど、それが一番困るじゃないですか。何を書こうかなと思ったときに、チケットを拾った話を何万回もしていたから、あれをそのまま文字に起こせばいいやと思って。

池ノ辺 しかも、松尾さんが俳優になるきっかけの話ですからね。

松尾 そう、よく訊かれるんですよ。「どういうふうにして業界に入ったんですか?」って。そのときに毎回チケットを拾った話をするのもあれなので、ここで書いておけば、説明しなくてもよくなる(笑)。もちろん、それだけじゃなくて、この話は引きが強いから、この話を書くのが一番面白いだろうと思って。

松尾諭が語る 半分は運だけど、半分は必然の人生を描いた物語『拾われた男』