高校生の神谷透は、クラスメイトに流されるまま、同級生の日野真織に嘘の告白をする。しかし彼女は、“お互い絶対に本気で好きにならないこと”を条件にその告白を受け入れる。やがて真織は、自分が前向性健忘症で、夜眠るとその日の出来事を全部忘れることを打ち明けるーー。
日本、そして韓国・中国でも大人気の一条岬の恋愛小説「今夜、世界からこの恋が消えても」、通称「セカコイ」の映画化。
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(2016)、『思い、思われ、ふり、ふられ』(2020)など数多くの青春ラブストーリーを手がけてきた三木孝浩監督のもと、神谷透役を道枝駿佑(なにわ男子)、日野真織役を福本莉子が務める。萩原聖人、水野真紀、野間口徹らがそれぞれの家族を、さらに、『桜のような僕の恋人』(2022)の松本穂香が、神谷透の姉、早苗を演じている。
予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』、今回は、本作品で神谷透の姉、早苗を演じた松本穂香さんに、本作品での共演者や監督とのエピソード、映画への想いなどをうかがいました。
池ノ辺 穂香さんは、役者になって、もう7、8年経ちますか。
松本 そうですね、18歳の時にデビューして、今、25歳ですから、そのくらいです。
池ノ辺 最近は本当にいろんな作品で見かけるようになりましたね。先日、穂香さんが主演された『桜のような僕の恋人』を観せていただいたのですが、あれは20代から、だんだん歳をとっていく‥‥という設定でしたよね。その演技が素晴らしくて、私も思わず号泣してしまいました。
松本 ありがとうございます。
池ノ辺 それで私、『桜のような僕の恋人』の深川栄洋監督にインタビューをした時に、どういう演出をされたんですかと伺ったら、「僕は演出してないんですよ、彼女と話をしただけで、あんなにできるとは思わなかったんです」っておっしゃってましたよ。
松本 うわぁ、ほんとですか。
池ノ辺 撮影の最後の方には、もう役柄に入ってしまって、自分にはほとんど話しかけてくれなかったと、そんな風におっしゃってました。だから、今回の作品では、どんな役で、どんな演技を見せてくれているのだろうと、とても興味が湧いて、お話をお聞きしたかったんです。
松本 そうだったんですね、ありがとうございます。
ラブストーリー。でも衝撃のラスト30分
池ノ辺 本作も素晴らしかったです。よくあるいつものラブストーリーのパターンかなと思って観ていたら、全然そんなことはなくて驚きました。さらに、生きるということや、未来に向けてのメッセージがいっぱい散りばめられていましたね。脚本を最初に読んだ時はどんなふうに感じましたか?
松本 そうですね、私も、記憶障害を持っているとか、大まかな題材だけは聞いていて、あとは若い男女のキラキラしたラブストーリーなのかなと思いながら台本を読んでみたら、こんな映画これまで観たことないというくらいびっくりしました。特にラストの30分くらいは、いろんなことがつながって、かなり衝撃的な展開だったので、面白そうだと思いながらも、これを演じるには結構繊細さも必要になるので大変そうだという印象でしたね。